看護職の処遇改善に期待(12月5日)

2021/12/05 09:06

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 日本看護協会は看護職のワーク・ライフ・バランスやヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)を通して、働き続けられる環境づくりを推進し、看護職の働き方や勤務環境の改善に取り組む看護現場への支援を続けている。この過程で、働いたことに対する評価の仕組みと、これに対応する賃金制度はどうあるべきかという課題に向き合い二〇一二年に看護職の賃金をテーマとした初の実態調査を行い、看護職の賃金に関する課題を明らかにした。

 課題は、(1)看護職の賃金カーブは、他の医療職と比べて賃金上昇が緩やかになっている(2)看護部門の人数規模に対するポストの数は、極端に少ない(3)看護職の八割が同一の等級に含まれる医療職俸給表(三)を参考としており、医療機関の公私を問わず、看護職の賃金制度や賃金水準がこの俸給表によって直接・間接の影響を受けている(4)この影響によって昇進や昇格の機会を得にくい(5)転職し、再就業した際の賃金が低くなることがある-などであった。さらに看護職の業務の量や内容に対する賃金への不満が多くみられることなど、看護職の賃金に関するさまざまな状況を把握した。

 これらを受けて、本会は看護職の賃金処遇の改善に向け、診療報酬上の看護配置基準の拡充や点数引き上げを要望するとともに、国家公務員の看護職に適用される医療職俸給表(三)の改善や俸給の引き上げに着目して、国への要望を通じ、看護職全体の賃金水準の改善を求め続けている。

 また、「看護職のキャリアと連動した賃金モデル」を二〇一六年に公表した。この「看護職の賃金モデル」は、課題に対する当時の本会の考え方と提案である。「看護職の賃金モデル」の骨格は「複線型等級制度」で、複数のキャリアのコースに能力や職務、役割などに応じた等級区分を組み合わせたものだ。働き方にさまざまな制約のある人材を活用するために、多様な働き方に対応させ納得できる処遇の在り方について提案している。公平な評価に基づく人事・賃金制度も、看護職のやりがいや充実につながる。

 賃金は仕事に対する報酬であり、社会的な評価指標の一つである。コロナ禍にあって、最前線で活躍し続けている看護職の社会的評価が賃金の面からも相応であってほしい。

 このような中、岸田文雄首相は社会基盤を支える看護職等の所得向上に向け、抜本的な見直しを行うとし、会見で年内には結論を出すとも述べた。十月十五日の官邸での面会においても看護職の所得向上について約束してもらった。席上、公的価格評価検証委員会へ看護職の代表を起用することについても強く要望した。

 コロナ禍にあってひるむことなく最前線で対応してきた看護職の処遇改善が行われることを期待している。

(福井トシ子 日本看護協会会長、大玉村出身)