【県立図書館】電子書籍の早期導入を(12月6日)

2021/12/06 09:33

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 スマートフォンなどのデジタル端末で読める電子書籍を貸し出す「電子図書館」が全国で増えている。県内でも福島市の県立図書館がシステム導入の準備に入る。いつでも、どこでも借りられることなどから利便性の向上が期待される。県民の読書環境の充実へ早期実現を望む。

 電子図書館は利用者がパソコンやスマートフォンから図書館のシステムにアクセスし、本の電子データを借りる仕組みだ。年中無休で二十四時間対応できるため、開館日や時間、図書館までの距離を気にせずに利用できる。

 図書館運営を支援する業界大手の図書館流通センターは電子図書館事業を全国の約二百三十自治体と展開する。二年前は約百自治体だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で図書館が休館しても書籍を貸し出せるとして注目を集め、倍増した。来年三月には三百自治体に達するという。県内では郡山市と伊達市が既に導入している。

 県立図書館は来年度から三年間の行動計画となる第四次アクションプランの素案に「電子書籍の導入に向けた準備を進める」と記した。その下準備として、今年度中に県民ニーズや先進事例の調査を始める考えだ。

 県立図書館は市町村の図書館を補完する施設として、専門性の高い本や、利用頻度が少なくても調査研究に欠かせない本を扱う。これらの特性も踏まえ、どのような分野の電子書籍をそろえるべきかを検討するとしている。ただ、冊数が少なくては県民の要望に十分に応えられない。教育現場ではデジタル化の普及により、教材用電子書籍の需要がますます高まるだろう。将来の展望を見据え、計画的な電子書籍の導入を求めたい。

 電子書籍は図書業者から購入・賃借するのが一般的だが、図書館が自ら収蔵する本をデータ化して貸し出すこともできる。この機会に、希少価値が高くて館外に持ち出せない本を、自宅のパソコンなどで自由に閲覧できる態勢を整えられないだろうか。東京電力福島第一原発に関する資料も電子化できれば、貴重なライブラリーとして国内外から注目を集めるはずだ。

 電子書籍の導入にはシステム整備や書籍購入などで新たな支出が生じる。紙の本の収集も続けなくてはならない。予算を十分に確保できるかが今後の焦点の一つとなる。読書環境の充実は県民の知力、学力の向上に欠かせない。それは将来を担う人材育成にも通じる。図書館への出資は未来への投資であることを忘れてはなるまい。(角田守良)