発想の転換(12月19日)

2021/12/19 09:13

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 宇宙旅行がニュースになる現代でも、地球が自転していると体感することは難しい。天体が回っていると信じられた時代に視点を変え、常識を覆す地動説を唱えた天文学者コペルニクスの発想には改めて恐れ入る▼後に哲学者カントが名付けた「コペルニクス的転回」とまではいかずとも発想の転換は身近にある。西会津町では住民を悩ませる除雪作業をエクササイズに見立てる。コロナ禍を経て日常となったリモートによる仕事も、「働く=出社」という固定観念を取り払うことになった▼福島市は今月、首都圏向けに「ちょうどいい旅、ふくしまステイ。」と銘打つ観光PRを始めた。小旅行を念頭に「都市と田舎のちょうどいい旅先」とうたう。自然や温泉、食などが豊富な一方、田舎過ぎない都市部であるが故に、ともすれば「どっちつかず」と捉えられがちな地域性を逆手に取った戦略とも言える▼東京から新幹線で九十分という近さもアピールする。観光には入念な準備が必要と思いがちだが、PRポスターは、思い立ったら旅してみようと呼び掛ける。未曽有の感染症による価値観の変化で、地方都市への関心は高い。アイデア次第で人も動きだす。