論説

【米国で規制撤廃】県産米の輸出戦略描け(1月10日)

2022/01/10 08:23

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 米国が東京電力福島第一原発事故後から実施していたコメなど県産食品三十五品目の輸入停止措置を撤廃したことを受け、JA会津よつばは昨年末、会津産米を米国に輸出した。新型コロナウイルスの感染拡大による消費の低迷でコメを取り巻く環境は厳しさを増している。海外での風評払拭[ふっしょく]につなげるためにも、県はJAや農家と連携し米国への輸出戦略を強化すべきだ。

 県によると、二〇二〇(令和二)年度の県産品輸出額は約九億五百万円で、県が統計を取り始めた二〇一二(平成二十四)年度以降で最高となった。相手国別では米国が日本酒や加工食品、牛肉など合わせて約三億四千九百万円に上り、全体の約四割を占めた。県産品の最大の輸出相手国である米国の輸入規制撤廃は販路拡大への追い風となる。

 県は二〇二三年に「天のつぶ」「コシヒカリ」の二銘柄を米国に輸出する方針だが、各県がコメの輸出に力を入れる中、スーパーマーケットや日本食レストランでの取り扱いをいかに増やすかが課題だ。県は日系スーパーへの営業を強化しているほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)の現地事務所と連携して飲食店に県産米のサンプルを提供し、米国人の好みに合った調理方法も具体的に提案するとしている。県産米のおいしさを伝えるためには、現地の人に試食してもらう機会を数多く設ける必要がある。

 インターネットを活用した売り込み強化や、会員制交流サイト(SNS)で発信力のある現地の「インフルエンサー」などの活用も求められる。東日本大震災と原発事故発生以降、さまざまな形で復興支援に貢献してきた在外福島県人会に協力を仰ぐのも効果的だろう。米国に九つある福島県人会の会員に依頼し、それぞれの勤務先や居住地域で県産米の試食・販売会や料理教室を開き、おいしさを口コミやSNSで発信してもらったらどうか。

 本県は農産物の安全認証制度「GAP」取得に力を入れている。二〇二〇年度末時点の取得件数は国際版、アジア版、国内版、本県版合わせて三百五十七件に上った。コメ農家の取得も多い。県内でGAP取得が増えている点をセールスポイントとして米国でアピールすれば、県産米に対する安全・安心やイメージアップにつながるはずだ。

 食品の輸入規制は依然十四の国・地域で続いており、政府は規制解除に向け一層の外交努力が求められる。米国への輸出実績を一歩一歩積み上げ、他国の規制撤廃の呼び水にしたい。(斎藤 靖)