令和の風(1月16日)

2022/01/16 09:25

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 昨年末のNHK紅白歌合戦で、岡山県の実家での弾き語りを披露した二十四歳の新人がお茶の間の話題をさらった。シンガー・ソングライターの藤井風さんだ。反響は続き、ツイッターや音楽配信サービスのフォロワーは増え続けている▼デビューは二年前。伸びやかな歌声と繊細なピアノ演奏に加え、R&Bなどの黒人音楽の要素を巧みに織り交ぜた楽曲は、音楽ファンの心をつかんだ。執着心の解放などメッセージ性の強い歌詞は幅広い世代の共感を呼ぶ。新時代の逸材との評判もうなずける▼卓越した音楽センスとともに注目を集めるのが、歌詞に使われる岡山弁だ。〈泣くくらいじゃったら 笑ったるわ〉〈強がりも もうええよ〉…。洗練された音に乗る方言が妙に心地よい。「故郷の良さを大切にしたい」。時代の最先端を走る若者が、胸を張ってそう言っているようで、すがすがしい▼大みそかの出演時も岡山弁を話し視聴者を和ませた。帰省や成人式で、久しぶりに方言を話した人も多いだろう。原発事故で古里を離れた人にとっても、お国言葉は心のよりどころになる。方言だからこそ伝わる気持ちがある。令和に吹く風が、そう教えてくれる。