東日本大震災・原発事故

震災「藤沼湖決壊」経験を後世へ 区長らが記録誌作成 福島県須賀川市長沼地区

2022/02/10 03:00

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 福島県須賀川市長沼地区の区長らが、東日本大震災で7人の死者と1人の行方不明者を出した農業用ダム「藤沼湖」の決壊を後世に伝える記録誌を作成した。被害を二度と繰り返してはいけないと、住民から聞き取った被災経験をつづった。

 内陸部で起きた震災被害を語り継ぐ目的で、「あの日を忘れない~そして語り継ぐ未来へ~」と題した。状況を収めた新聞記事や写真を住民28人の声と共にまとめた。ダムができた経緯や県が調査した決壊のメカニズムについても掲載した。

 2018(平成30)年に長沼行政区長となった柏村国博さん(66)と当時、被災者の会の会長を務めていた森清道さん(65)が中心を担い3年掛かりで完成させた。

 「まさか藤沼が決壊するとは思わなかった」。「押し寄せる濁流が津波のように住宅を飲み込んで暴れまくっていました」。濁った水が住宅を飲み込む写真と、記録誌につづられた証言は当時の情景や思いを生々しく描写している。つらい記憶を呼び起こしてしまうのではないかという葛藤を抱えながらも、丁寧に住民に話を聞いた。思いに共感し、これまで外部に出していなかった写真を提供する住民も現れた。

 9日、柏村さんらは須賀川市役所を訪れ、橋本克也市長に記録誌を寄贈した。3500部を発行し、今後、市内の小中学校などに配布される。

 柏村さんは「震災後に生まれた子どもたちへの防災、減災の教育に役立ててほしい。ため池があるどこにでも起こりうる災害であると知ってもらいたい」と願った。