アニメで共に生きる 障害者らに作画指導のNPO、今春設立 福島県郡山

2022/02/24 09:29

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スタッフに絵の描き方を指導する松崎さん(右)。誰もがアニメ制作の技術を身に付けられるNPOを設立する
スタッフに絵の描き方を指導する松崎さん(右)。誰もがアニメ制作の技術を身に付けられるNPOを設立する

 国内の第一線で活躍するアニメーターの下で、アニメ制作の技術を身に付けられるNPO法人「アニボウ」が今春、福島県郡山市に設立される。同市出身で、人気作品の原画制作や作画監督を担っている松崎一(はじめ)さん(66)が代表を務め、参加者を指導する。精神や身体に障害のある人も受け入れ、社会参加を後押しする。「アニメを通して人材を育て、社会を明るくしたい」と夢を描く。

 NPOはアニメーターを志す人の作画技術を高めるとともに、障害者の自立を支える場にする。松崎さんは参加者に無料で技術を教える。人が歩く動作や波の動きなど基本練習を重ねる予定。一定のスキルが身に付けば、制作した絵の枚数により報酬を支払う。アニメーターが障害者らに絵を指導する団体は全国でも珍しいという。

 松崎さんは40年以上前にアニメの世界に入り、人気作品の「ドラえもん」「進撃の巨人」「はなかっぱ」などの制作に携わってきた。フリーで活動し、15年ほど前に郡山市に戻って自前の工房を運営している。

 数年前、スタッフを募った際、自宅にこもりがちな応募者と出会った。受け入れた後に体調を崩すなど精神的な問題を抱える人もいた。「アニメ制作で自信や充実感を得てほしい」との思いから、NPO設立を決めた。名称には「アニメで学ぼう」という意味を込め、技術を再出発の材料にしてほしいとの思いがある。

 松崎さんの市内の自宅で、20~50代の男女5人が働いている。自宅や職場で作業し、絵が完成すると松崎さんに助言をもらう。昨年9月にスタッフとなった市内の20代女性は「体調を崩しやすいため、得意な絵を仕事にしたかった。技術を磨いてアニメーターになりたい」と話す。

 地元でアニメ制作を学べる利点もある。制作会社は首都圏などに多く、業界に入りたくても家庭や経済的な事情で上京できない場合がある。NPO設立は、国内外で高い評価を得ている日本の技術を多くの人に習得してもらう機会になる。

 現在、郡山市の大谷拓明弁護士(44)らの手助けを受けながら、設立の準備を進めている。松崎さんは「障害の有無に関係なく、頑張りたいと思う人を支える。活躍するアニメーターを輩出し、アニメで古里を盛り上げたい」と力を込めた。

 クラウドファンディングなどを計画し、支援を募る。作画スタッフも募集している。QRコードから松崎さんのホームページにアクセスできる。