東日本大震災・原発事故

福島県産日本酒の魅力発信 品質と知名度向上に力尽くす 蔵元に助言技術指導も【あすを見つめて】

2022/03/11 10:43

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日本酒の出来栄えを確認する鈴木さん。4月からは県酒造組合顧問として地酒のさらなる品質向上に尽くす=10日午前、会津若松市
日本酒の出来栄えを確認する鈴木さん。4月からは県酒造組合顧問として地酒のさらなる品質向上に尽くす=10日午前、会津若松市

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から丸十一年の節目を翌日に控えた十日、鈴木さんは酒造関係者らとの打ち合わせなど慌ただしく職務に当たった。「震災以降、『福島イコール日本酒』と言われるまでに各蔵元のレベルが上がった。地道にまいた種が花開いた」と感慨深い思いを抱く。

 酒造りに関わって約三十年。当時の県内蔵元は「全国の大手酒造メーカーが造る安価な酒に対抗しようと必死だった」と振り返る。「品質が良くなければ喜ばれない。安いだけの酒では長続きしない」。酒造関係者による「高品質清酒研究会」の立ち上げに携わった。研究会や県酒造組合の清酒アカデミーのネットワークを生かした蔵元間の情報交換、人材育成、技術の共有など横のつながりを強めた。

 原発事故で県産酒を取り巻く環境が一変した。双葉郡にあった酒蔵が避難を余儀なくされ、「困っている仲間の力になりたい」と蔵元同士の思いが一つになった。風評払拭(ふっしょく)に向け国内外で数多くのイベントが開かれるようになった。以前よりも多様な層に飲まれることで厳しい声も寄せられるようになった。その分、「より良い酒を造る」と蔵元の意欲が高まった。切磋琢磨(せっさたくま)する環境が全国新酒鑑評会での金賞受賞数八連覇につながっているという。

 県職員の立場では自ら各地に出向き、県産酒をPRする機会は限られていた。四月以降は新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、イベントや飲食店などに出向き、味の特徴や蔵元の思いなどを愛飲者に自ら伝えたいと考えている。蔵元への助言や清酒アカデミーでの技術指導にも全力を尽くす。

 国内の日本酒界をリードする本県に追い付け、追い越せと全国の蔵元が鍛錬を重ねている。「全国的に酒造りのレベルは上がっている。それに負けないようさらに上を目指す」と強い決意をにじませた。