十六日深夜に起きたマグニチュード(M)7・4の地震で、県内は中通りと浜通りで最大震度6強を観測した。気象庁は、発生から一週間ほどは同程度の地震に見舞われる可能性があると注意を呼び掛けている。十八日は県内全域で降雨や降雪が予想され、地盤の緩んだ場所などでは特に警戒が必要だ。県民は身の安全を最優先に、余震に備えてほしい。
気象庁によると、震源は本県沖で、陸の下に沈み込む太平洋プレート内で起きたとみられる。震源と規模は昨年二月の最大震度6強の地震とほぼ同じだという。いずれも東日本大震災の余震域にある。「3・11」から十一年がたっても、巨大な揺れが今もなお繰り返される。自然の力は計り知れない。
県によると、県内では一人が死亡し、多くの負傷者が出た。避難所は浜通りや中通りを中心に二十二市町村が九十八カ所に設け、合わせて約三百五十人が身を寄せた。東北新幹線は脱線の影響で全線運行再開が四月以降になる可能性がある。道路や橋も被災し、各地で交通網が断たれた。
東京電力福島第一原発では使用済み核燃料プールが一時、冷却できなくなった。安全性は保たれているようだが、不安は拭えない。安全に「絶対」がないことは既に経験済みだ。今のところは、揺れに神経を使いながら、平時とは異なる暮らしに耐えるしかない。
震源地から離れている会津地方も予断を許さない状況にある。今季は例年よりも降雪量が多い上、暖かい日が続いたため、雪崩が相次いでいる。気象庁は「積雪が不安定になった可能性がある」と指摘する。道路を通行する際は細心の注意が必要となる。行政によるパトロール強化も欠かせない。
現在、会津若松市の県立博物館で特集展「そなえの芽~災害から考えるあしたの暮らし~」が開催されている。東日本大震災を教訓に、いつ発生しても不思議ではない災害を意識し、常に日常生活を見つめ直すことの大切さを訴えている。
会場には防災を巡る七つの問い掛けが掲示されている。「あなたの家で『おちない、たおれない、うごかない』工夫をしていますか」「誰よりも早く率先して避難する勇気がありますか」「必要なものがないとき、あなたはどうしますか」。それぞれの言葉の意味を今こそかみしめたい。
余震はいつ襲い掛かるか分からない。被害を最小限に抑えられるよう備えは万全にしてほしい。(角田 守良)