



16日夜に起きた福島県沖を震源とする最大震度6強の地震で、17日午後6時までの福島県の集計では相馬市の60代男性が死亡し、67人が負傷した。17日までの共同通信の取材では、宮城県で2人が死亡し、けが人は福島県を含む12県の188人超に上った。東北新幹線では下りの「やまびこ223号」が福島―白石蔵王間で脱線し、17日午後6時現在、那須塩原―盛岡駅間で運休中。福島県は全59市町村に災害救助法の適用を決めた。県からの災害派遣要請を受け、陸上自衛隊が断水地域で給水支援に入った。
【死傷者】
相馬市の60代男性が自宅2階の窓から逃げようとした際に転落し、死亡した。負傷者のうち、重傷は4人。本宮市の50代男性はトラックを運転中に急ブレーキを踏み、手足のしびれなどを訴えて搬送された。頭部外傷で重傷とみられる。
【建物被害】
各地の公共施設や住宅で屋根、壁などの破損が見つかっている。
【避難所】
県によると、浜通りや中通りを中心に、一時は22市町村が公民館や学校など98カ所に設け、358人が身を寄せた。
【鉄道】
東北新幹線那須塩原―盛岡駅間は白石蔵王駅周辺を中心に電柱の傾きや高架橋の破損が見つかった。那須塩原駅以南と盛岡駅以北は臨時ダイヤで運行中。東北線新白河―一ノ関駅間と常磐線広野―仙台駅間は17日、運転を見合わせた。山形新幹線と奥羽線福島―新庄駅間、磐越西線郡山―喜多方駅間、磐越東線郡山―いわき駅間は順次再開した。
福島、宮城両県を結ぶ阿武隈急行(本社・福島県伊達市)は福島―槻木駅(宮城県柴田町)間全線で当面運休する。福島学院前駅のホームが損傷するなどの被害が出ている。
【道路】
17日午後9時現在、常磐自動車道南相馬―山元インターチェンジ(IC)間が通行止めとなっている。東北自動車道は17日午後に再開した。県管理道路も陥没や段差ができ、16路線で一時全面通行止めとなった。相馬市の松川浦大橋に近い市道「鵜ノ尾岬」トンネル付近では落石が起きた。
【停電】
東北電力ネットワークによると、地震直後の16日深夜には県内で約9万9000戸が停電した。相馬市の約100戸を最後に、17日午後9時40分ごろまでに全て復旧した。
【断水】
相馬、南相馬両市や新地、楢葉、国見各町などで相次いだ。水道事業体が復旧を急ぐとともに給水所や給水車で水を提供している。
【原発】
東京電力によると、福島第一原発5号機と福島第二原発1、3号機の使用済み核燃料プールの冷却が一時停止した。第一原発2号機でも停止し、約7時間半後に再開した。
第一原発の1号機格納容器では内部の圧力が低下した。東電は建屋外の放射性物質を測るダストモニターの値や放射線量に変化はないとしている。
【津波】
気象庁は16日午後11時39分に福島、宮城両県に津波注意報を発令した。相馬で20センチ、いわき市小名浜で微弱な津波が観測された。注意報は17日午前5時に解除された。
【休校】
県教委によると、17日は県立学校全110校、市町村立学校241校が臨時休校した。