処理水海洋放出 「地元と合意進まず」8割 政府方針決定1年福島県内首長アンケート

2022/04/18 09:10

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 東京電力福島第一原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、政府が福島県沖での海洋放出方針を決定して1年に合わせ、福島民報社は県内59市町村長にアンケートを実施した。福島県沖での海洋放出開始まで残り1年となる中、政府が処分の前提としている地元との合意形成について、49市町村長(83%)が「あまり合意形成が進んでいない」と答えた。処分方針などに関する説明不足を指摘する声が回答理由の多くを占め、政府の対応の不十分さが改めて浮き彫りとなった。

 各市町村長の回答結果は【下記】の通り。「少しは合意形成が進んだ」が5町村長(8%)、その他が2市町長(3%)、無回答が3市村長(5%)だった。「かなり合意形成が進んだ」「全く合意形成が進んでいない」はゼロだった。

 処理水の処分について、政府と東電は2015(平成27)年、県漁連に対し「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と約束した。「あまり合意形成が進んでいない」と回答した市町村長のうち、沿岸部に位置するいわき市の内田広之市長は約束に触れた上で「言葉の重みとしっかりと向き合い対応する必要がある。国内外への科学的な安全性に関する理解醸成を強化すべき」と訴えた。

 政府は昨年末、風評抑止策などを盛り込んだ行動計画を取りまとめた。福島市の木幡浩市長は「風評対策がこれまでの焼き直しの域を出ず、風評解消に向けた展望が開けない。どうすべきかは政府が責任を持って考えるべき」と求めた。湯川村の三沢豊隆村長は「処理水の安全性など国民的な理解が進んでいない。風評被害が強く懸念され、県全体の復興に水を差す結果とならないか心配している」と懸念を示した。

 原発事故で甚大な被害を受けた双葉郡では、楢葉町の松本幸英町長が「風評対策などを具体的に示し、相手の立場を考慮し、寄り添って話をしてもらいたい」と要求した。富岡町の山本育男町長は「有識者会議などで説明はなされているが、一般住民のレベルにおいてはその機会自体が少ない。合意形成や漠然とした不安の払拭はあまり進んでいない」と指摘した。

 福島第一原発が立地する大熊町の吉田淳町長は具体的な指標がないなどの理由で「不明」と回答。双葉町の伊沢史朗町長は「少しは合意形成が進んだ」と答えた。


【設問】処理水の海洋放出方針の決定後、この1年で地元と政府の合意形成は進んでいるとお考えですか

▼かなり合意形成が進んだ(回答なし)

▼少しは合意形成が進んだ(5町村長)

桑折、檜枝岐、三島、双葉、葛尾

▼あまり合意形成が進んでいない(49市町村長)

福島、会津若松、いわき、白河、須賀川、喜多方、二本松、田村、南相馬、伊達、国見、川俣、大玉、鏡石、天栄、下郷、只見、南会津、北塩原、西会津、磐梯、猪苗代、会津坂下、湯川、柳津、金山、昭和、会津美里、西郷、泉崎、中島、矢吹、棚倉、矢祭、塙、鮫川、石川、玉川、平田、浅川、古殿、三春、小野、広野、楢葉、富岡、川内、浪江、新地

▼全く合意形成が進んでいない(回答なし)

▼その他(2市町長)

相馬、大熊

▼無回答(3市村長)

郡山、本宮、飯舘