
広告代理店の東北博報堂社長を務めた香中(かなか)峰秋さん(60)は4月から福島県富岡町の一般社団法人「とみおかプラス」事務局長として、移住定住や町の魅力創造事業に励んでいる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を進める町で、新たな道を歩む。
人気グループ「TOKIO」による福島県農産物の振興企画、観光誘客イベント…。2014(平成26)年に東北博報堂に着任以来、福島県をはじめ東北の被災地復興に向けた企画に関わってきた。2020(令和2)年に東北博報堂社長を退任し、東京の博報堂本社に戻った。
「お世話になった東北、福島に恩返ししたい」。内閣府の地方創生人材支援制度で、富岡町がまちづくりの人材を募集しているのを知った。「自分の経験を富岡町のために生かしたい」と申し込み、採用された。
町内のまちづくりの中核となっている「とみおかプラス」に出向となり、事務局長を務める。町の移住定住の受け付け業務を担っている。町民に親しまれてきた写真館の建物をリフォームし、お試しで宿泊ができる。
今春、12年ぶりに夜の森地区の桜並木がすべて観賞できるようなった。桜のトンネルを歩いてみた。言葉にならないほど美しかった。町民が大切にしてきた魅力を発信していくとともに、新たな宝を見つけ、にぎわいを取り戻したい。決意を新たにした。