廃校に「メダカの学校」 高級種を販売、飼育ロボット開発も 福島・いわき

2022/05/07 10:02

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廃校の教室で高級メダカやドローンの研究を進める片寄さん
廃校の教室で高級メダカやドローンの研究を進める片寄さん
廃校の教室で飼育を始めた高級メダカ
廃校の教室で飼育を始めた高級メダカ

 廃校となった福島県いわき市田人町の小学校校舎を拠点に「高級メダカ」を活用した研究が始まる。同市出身の片寄里菜さん(41)が社長を務める東京都のアプリ開発、ウェブ制作会社「moegi」が校舎内の教室に技術開発研究所を設けた。高級メダカの販売、飼育ロボットの開発などを通じ、子どもたちに自然環境保護や国連の持続可能な開発目標(SDGs)を考えてもらう場にする。長年地域に親しまれてきた校舎が「メダカの学校」として新たな学びの場に生まれ変わる。

 高級メダカはニホンメダカを品種改良して誕生した。日本メダカ協会(広島県)によると、現在国内で700種類以上確認されているという。水温管理が容易なことや病気に強いことなどから、観賞魚として需要が高まっている。同社では1匹1000円から3000円程度での販売を予定している。

■サブスクでメダカを貸し出し
 販売と合わせ力を入れたいのがサブスクリプション(定額制)でメダカを貸し出す事業だ。学校や企業、飲食店などで見て楽しんでもらうことを通じ、高級メダカの魅力を多くの人に知ってもらう。


■飼育を効率的に ロボット開発
 メダカの飼育や監視を効果的にできるようロボットの開発も進める。同社が持つ小型無人機(ドローン)の技術やシステム構築などの知識を生かし、餌やりや水温管理、水槽の環境維持などを代行できる技術開発を目指す。将来的には家庭や漁業の現場、技術を応用した農業分野などへの展開を視野に入れる。

 片寄さんはいわき市小名浜出身。市内の高校卒業後、東海大工学部航空宇宙学科に進学。同大大学院まで進み、航空機やヘリコプターなどの設計や制御法などを学んだ。2018年に都内でmoegiを設立した。

 新型コロナウイルスの影響でウェブ制作の受注量などが減少する中、高級メダカに着目。自社のノウハウを生かして新事業を模索し、昨年夏ごろから都内の販売店や専門家を訪ねて飼育法や繁殖法、適した飼育環境などを学んだ。試験的に飼育を始め、事業計画を練ってきた。

■磐城高箸社長の高橋正行さん 校舎を紹介
 古里いわきで拠点となる施設を探していたところ、2014年に廃校になった旧田人二小南大平分校で高級割り箸や木工製品の製造販売に取り組む磐城高箸社長の高橋正行さん(48)と出会った。高橋さんから校舎の歴史や観光振興に向けた事業展開などを聞き、実際に校舎を見学した。たたずまいや周辺の自然環境などにもほれ込み、進出を決めた。

 片寄さんはこの場所を子どもたちの自然環境保護への関心を育んでもらえるような施設にしたいと考えている。敷地内にある人工のため池を使い、本来メダカが生息している田んぼや小川などの環境を再現して水生生物を観察できるようにする。高級メダカの飼育には井戸水や校舎脇を流れる四時川の水を使い、流木や川辺に転がる石など身近にある自然を鑑賞用の水槽に再現する。

 片寄さんは「いわきの自然の素晴らしさ、命を大事にすることの大切さを多くの人に伝えていきたい」と目を輝かせた。