会津藩のファンには、たまらないだろう。郷土資料をインターネット上で紹介する「会津若松市デジタルアーカイブ」が好評だ。貴重な本や図画を家にいながら閲覧できる▼会津図書館が所蔵する江戸時代後期から明治初めの古文書や地図、絵図の掛け軸などを五百点近く公開している。会津藩士のデータベースもある。田中土佐や西郷頼母ら約六千七百人に上る藩士の名前や住所を手掛かりに資料を検索できる。以前は県外から訪れ、百ページもコピーする子孫もいたそうで、自身のルーツをたどるのにも役立つ▼本物だと汚したり、破いたりしてはいけないと、紙をめくる指が思わず緊張する。画像データなら心配ない。昔の文書は読み解くのに時間がかかるが、施設の閉館を気にせず、じっくり目を通せるのも好事家にはありがたい。今後、さらに充実させるという▼歴史資料などのデジタル化は国立国会図書館をはじめ、全国で進んでいる。火災や災害による喪失や経年劣化の対策の一つにもなりそうだ。何より、古里の歴史に手軽に触れられる。学校の授業などでも積極的に活用してはどうか。先祖と思いがけず出会い、家の歴史を学ぶきっかけにもなろう。