学校の使い道(5月19日)

2022/05/19 09:12

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 福島市飯坂町東湯野にふるさと歴史館がある。地元で発掘された縄文土器や住民が使っていた古い農機具など約六百点が並ぶ。古来の暮らしに思いをはせられる貴重な品ばかりだ▼もともとは幼稚園だった。廃園で地域の灯が消えてしまうと案じた住民が、役目を終えた家具や電化製品などを持ち寄った。近くに住む八十歳の男性が鍵を管理し、ボランティアが中心となって運営してきた。予約すると、入り口を開けて展示物を説明してくれる▼少子化が進み、閉校や閉園は珍しくない。子どもの声が聞こえなくなった校舎や園舎をどう活用するか。県内では図書館、カフェ、ホテルなどと上手に利用している例がある。行政も住民も試行錯誤しながら使い道を探っている施設もある▼「資料を残して語り継がなければ、地域の歩みが人々の記憶から消えてしまう」と、歴史館の鍵を預かる男性は活動の理由を明かす。南隣にある東湯野小も今春、百四十七年の歴史に幕を閉じた。市は地元の声を聞き、今後の利活用を検討している。ここを巣立った子どもたちの記憶が薄れる前に、閉まったままの小学校の玄関の鍵が、みんなの知恵で早く開けられるといい。