母の一世紀冊子に 陽日の郷あづま館会長鈴木さん「家族やふるさとの記憶に」 福島県二本松市

2022/05/25 17:40

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母の半生をまとめた冊子を作った鈴木さん
母の半生をまとめた冊子を作った鈴木さん
家族・親族から100歳の祝福を受ける洋子さん(前列中央)
家族・親族から100歳の祝福を受ける洋子さん(前列中央)

 福島県二本松市岳温泉の陽日の郷(ゆいのさと)あづま館会長の鈴木安一さん(74)=岳温泉旅館協同組合理事長=は、今月9日に100歳を迎えた母洋子さんの半生を冊子「洋子の一世紀」としてまとめた。太平洋戦争や東日本大震災を乗り越え、強く生きる女性の姿が浮かび上がる。100部を印刷して祝賀会で配った。鈴木さんは「家族やふるさとの記憶として語り継ぐ」と話している。

 洋子さんは1922(大正11)年、二本松藩士の流れをくむ宇田家の長女として東京で生まれた。日本を代表するシャンソン歌手の石井好子さんとは小学校から女学校まで一緒の親友だった。戦争で二本松に疎開し、1946(昭和21)年、あづま館2代目の義一さんと結婚した。

 安一さん、玲子さん、隆さん、智夫さん、睦美さんの5人の子どもに恵まれた。市議や消防団長など要職を務める夫を支え、子育てをしながら朝から晩まで旅館の仕事を何でもこなし、会計やコイ料理も得意だった。

 温厚で笑顔を絶やさず、心はいつもプラス思考。1952年に歌人の柳原白蓮が訪れた時には洋子さんが案内し、1957年に高松宮宣仁親王がスキーのため宿泊した際のもてなしも担当した。冊子には洋子さんを中心に、代々の先祖や国内外の各界で活躍する家族のエピソードがちりばめられている。

 100歳の祝賀会は15日に岳温泉の「空の庭」で開き、33人が集まった。風船を100個飾り、一人一人お祝いの言葉を贈った。洋子さんは子、孫、ひ孫、きょうだい、親族らに囲まれ、幸せいっぱいで感謝していた。歴史の本を読むのが趣味で、チョコレートやシュークリームが好物という。

 岳温泉は長い歴史の中で、何度も災害から復興を遂げてきた。昨年2月と今年3月に起きた地震ではあづま館も被害を受けたが、修理を進め、元気に営業している。鈴木さんは「母は先祖の地である二本松を誇りに思ってきた。今後、冊子の内容をさらに充実させ、地域の歴史探訪の一助になれば幸いだ」と話している。