福島県双葉郡観光の窓口に 6月にも旅館・ホテル組合設立

2022/05/27 09:17

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広野地区旅館ホテル業組合の設立に向けて準備する吉田さん
広野地区旅館ホテル業組合の設立に向けて準備する吉田さん

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興が進む福島県双葉郡に6月にも、旅館・ホテル事業者の組合が発足する。広野、楢葉、富岡3町をエリアとする「広野地区旅館ホテル業組合」とし、十数社が加盟を予定している。Jヴィレッジ(楢葉・広野町)を拠点とする各種スポーツ大会、被災地を巡る教育旅行などによる観光客の増加が見込まれる中、関係者は「団体客の受け入れ体制を整え、観光振興につなげる」と意気込む。

 組合の設立により、まとまった数の団体客の宿泊先を加盟旅館に割り振りでき、被災地に多くの観光客を呼び込むことが可能になる。観光客に宿泊しながら復興の現状をじっくりと見てもらえる環境が整う。

 広野町と富岡町でホテルや旅館を経営するイワサワ社長の吉田稔さん(66)=富岡町出身=が「双葉郡に活気があふれるよう連携していきたい。古里の復興に貢献する」との決意を胸に、旅館・ホテル3社の関係者と準備を進めている。

 吉田さんによると、震災と原発事故前までは広野、楢葉、富岡、川内、大熊5町村の約20社が富岡地区旅館ホテル業組合を組織し、団体客の受け入れ窓口を担っていた。

 だが、原発事故による避難で各旅館・ホテルの営業休止が相次いだ。除染や廃炉の作業員宿舎になる施設もあり、組合は自然解散となった。双葉郡南部では除染や復興に伴う業務がピークを過ぎたことで、宿泊する作業員の数は減少傾向にあるという。新型コロナウイルス感染拡大も暗い影を落としている。

 一方で、全国高校総体(インターハイ)の男子サッカーが2024(令和6)年度から、Jヴィレッジを中心とした浜通りでの固定開催が決まったことにより今後、サッカーの各種大会や合宿などによる盛り上がりが期待される。温暖な浜通りで幅広いスポーツ大会の開催も見込まれる。

 双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や浪江町の震災遺構・請戸小、富岡町のとみおかアーカイブ・ミュージアムなど、震災関連施設を巡るホープツーリズムや教育旅行の需要が増えてきている。今夏には楢葉町の岩沢海水浴場が12年ぶりに再開されるなど、少しずつ明るい兆しが見えてきている。

 吉田さんは「震災と原発事故から11年が過ぎ、旅館・ホテルを取り巻く環境が変わってきた。団体客の受け入れができるようになれば、にぎわい創出につながる」と強調する。

 組合に関する問い合わせは、ホテルオーシャンいわさわ内の広野地区旅館ホテル業組合設立準備室へ。