

東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、福島県葛尾村野行地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示は6月12日午前8時に解除される。帰還困難区域で住民が再び暮らせるようになる初の事例となる。帰還困難区域が設定された自治体で復興拠点全体が解除されるのも初めて。原発事故から11年が過ぎ、拠点内でのまちづくりがさらに進む。
野行地区は村北東部に位置し、村唯一の帰還困難区域に指定された。2018(平成30)年に約1600ヘクタールのうち、約95ヘクタールが復興拠点として認定された。除染やインフラ整備の先行実施、コミュニティー再生に向けた集会所の再整備、田畑や牧草地の利用回復などが進められてきた。
拠点内の住民登録者数は現在、30世帯82人。帰還意向を示しているのは4世帯8人にとどまる。移住・定住対策に加え、コミュニティー再生や農業の担い手確保などが課題で、解除後も実態に合った国による支援策が求められる。