東日本大震災・原発事故

国の責任について初の統一判断 17日に最高裁 集団訴訟4件の上告審判決

2022/06/16 09:35

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 東京電力福島第一原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた福島(生業=なりわい=)、群馬、千葉、愛媛の四件の集団訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は17日、国の責任について初の統一判断となる判決を言い渡す。高裁段階では結論が分かれており、後続の同種訴訟の行方を左右するのは必至だ。東電旧経営陣の刑事裁判などへの影響も注目される。未曽有の事故に対する、国の法的責任を追及する一連の訴訟は大きな節目を迎える。

 4訴訟の一、二審の経過は【表】の通り。賠償額に加えて(1)国の地震調査研究推進本部が2002(平成14)年に公表した地震予測「長期評価」の信頼性(2)原発への津波到来を予測できたか(予見可能性)(3)国が東電に対策を取らせれば事故を防げたか(結果回避義務)―が主な争点。福島、千葉、愛媛の3訴訟の各控訴審判決は長期評価を信頼できるとした上で、国の責任を認定した。一方、東京高裁による群馬訴訟の控訴審判決は国の責任を否定した。

 17日の最高裁判決の分かれ目は、福島第一原発の津波対策に関し、国の東電への規制権限が「適切に行使されたのか、違法だったのか」をどう判断するか―という点にある。

 最高裁は「筑豊じん肺訴訟」「泉南アスベスト訴訟」など規制権限の不行使による国家賠償責任の有無が争われた訴訟で、権限を使わなかった国の対応が「許容する限度を逸脱して著しく合理性を欠く」と言える場合、違法性を認めて国に賠償責任があるとの立場を取ってきた。

 原発事故に関してもこの考え方を踏襲した上で、津波の予見可能性などの争点について検討し、判決を導き出すとみられる。

 4~5月にあった各訴訟の上告審弁論で原告側は長期評価に「高度な信頼性がある」などとし、予測に基づけば津波を予見できたと主張。国が東電に対し防潮堤の整備や、建屋への浸水を防ぐ水密化などの対策を取らせていれば事故は防げた―と論じた。

 一方、国は長期評価は信頼性が低く、「原子力規制に取り入れるほどの精度や確度がない」と反論。東電に対策を命じたとしても実際の津波は規模や方向が異なり、事故は防げなかったと主張した。

 第2小法廷は判決に先行して3月、損害賠償額に関する原告、被告双方の上告を退ける決定をしている。決定により、東電の賠償責任と賠償額は確定している。