東日本大震災・原発事故

30日午前9時に解除 福島県大熊の特定復興再生拠点区域 復興加速化や住民帰還に期待

2022/06/17 09:31

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 東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県大熊町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示は6月30日午前9時に解除される。16日、政府、県、町の3者が町役場本庁舎で協議し、合意した。復興拠点はかつての町中心部を含み、町人口の半数以上が住民登録している。解除によりさらなる復興の加速化や住民の帰還が期待される。

 帰還困難区域で住民の居住が再び可能になるのは葛尾村に続き2例目。今後、政府原子力災害対策本部が正式決定する。3者協議は非公開で行われ、吉田淳町長が解除日を提案。政府原子力災害現地対策本部長の石井正弘経済産業副大臣、鈴木正晃副知事が受け入れた。

 吉田町長は協議後の記者会見で「復興がさらに進むと期待している」と述べた。解除日を30日にした理由については、住民説明会で住宅再建などのため早期の解除を求める声が上がったとし、「住民の課題を早く解決したかった」と明かした。一方、「町の課題はたくさんある」とし、住宅不足の解消や企業誘致による働く場の確保を進める考えを示した。

 大熊町の復興拠点は下野上地区などかつての中心部を含む約860ヘクタール。町人口の約6割に当たる2225世帯の5896人が住民登録し、昨年12月から始まった準備宿泊には18世帯49人が登録した。

 町は拠点内のJR大野駅周辺や県立大野病院跡地などに帰還者や移住者、就業者向けの住宅団地を整備する。駅西側には産業交流施設と商業施設を設け、2024(令和6)年12月の開所を予定。施設の完成で産業創出や駅前に人の流れを生み出したい考えだ。