論説

【第26回参院選】国の針路問われる(6月23日)

2022/06/23 09:00

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 政権交代を伴わない参院選は、時の政権に有権者が示す「中間評価」ともされてきた。今回の参院選は、これまでとは次元が違うといえるだろう。国家、国民の行く末に関わる極めて重要な意味を持つ。各党は公約の効果や正当性、確実に実行する手だてを正面に掲げ、真摯[しんし]に信を問うているか、厳しく見定める必要がある。

 物価高を受けた経済対策で、自民党は「新しい資本主義」によって人への投資を促し、本格的な賃金増時代をつくると訴える。最大野党の立憲民主党は消費税の時限的な5%減税を主張する。他の政党も、持続的な賃金引き上げ、ガソリン税の一部軽減、インフレ手当の給付といった政策を打ち出している。財源の裏付けや実現の道筋があって公約は成り立つが、公示前、説明はほとんどなかった。

 燃料、資材、食料、日用品と、あらゆる値上げに窮する国民に、もはや聞こえのよい言葉は響かない。まして公約がなし崩しにされたり、かけ声倒れに終わったりするのを、幾度も経験させられてきた。政治不信や選挙離れの一因でもある。今はそんな猶予はないと、肝に銘じた具体的で緊張感のある政策論争を有権者は求めている。

 円安が止まらない。物価は上昇しても賃金は上がらぬままだ。日銀が続ける金融緩和策の行き詰まりを指摘する声も出ている。与野党ともに論戦の中で打開策や対案を、国民が理解し、納得のできる言葉で直接示すべきであり、でなければ現状認識に欠ける。

 ロシアのウクライナ侵攻で揺れる国際情勢下、日本の安全保障がかつてなく問われている。戦後の国家防衛の在り方の検証、見直しを迫られているならば、なおさら国民不在は許されない。防衛予算の大幅増を目指す側も、専守防衛前提で抑止力向上などをうたう側にも、規模や質を緩めずただす視点を持たねばならない。

 改憲勢力が憲法改正発議に必要な「三分の二」に届くかどうかが焦点となっている。推進派、反対派のいずれも論拠を明確に示すべきだ。受け手側は国の根幹に関わると捉えて関心を高め、判断力を養う意識が欠かせない。

 先の国会審議を巡り、現政権は一定の支持率はあるとはいえ、方針のぶれがしばしば取りざたされた。追及の足並みが乱れた野党は正念場にある。負託に堪えうる選択肢が乏しければ、選挙の意義は薄れるばかりだ。野党の存在感や立ち位置を含め、国会のあるべき姿にもしっかりと目を向けたい。(五十嵐稔)