論説

【新型コロナ 相馬野馬追】新たな時代の祭りに(6月27日)

2022/06/27 09:05

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 東北を代表する夏祭り、相馬野馬追は今夏、三年ぶりに通常開催される。県内の新型コロナウイルス感染者は減少傾向にあるとはいえ、対策の手は緩められない。「ウィズ・コロナ」を見据えた安全な運営方法を構築する契機にしたい。

 相馬野馬追は昨年まで二年続けて、神事を中心とした小規模な実施にとどまった。国の重要無形民俗文化財としての伝統はつないだものの、東日本大震災以降、最多で二十万人を超える観客を呼び込む観光イベントとしての役割は果たせなかった。

 今年はワクチン接種が進んだことなどから、七月二十三日から二十五日までの全行事を有観客で行う。相馬、南相馬両市に加え、双葉郡でも関連イベントが繰り広げられる。新型コロナ対策として、執行委員会は出場者に対して、チェックシートによる二週間前からの体調管理を要請する。沿道の観覧者には大声での声援を控えるよう求める。行列が観覧できる桟敷席は、密を避けるために間隔を空けたパイプ椅子に変更する。桟敷の時は約八百人分だった観覧席は半減する見通しだが、安心できる態勢づくりには欠かせまい。

 三月のまん延防止等重点措置が全面解除されて以降、大規模イベントの人数制限は撤廃されている。山形県米沢市で今年の大型連休中に開催された米沢上杉まつりでは、参加者が甲冑[かっちゅう]の〓当て風マスクをして合戦を再現するなどの対策が取られた。相馬野馬追も現在の対応で十分とはせず、でき得る限りの手だてを考えていく必要がある。出場者も観覧者も感染しない、感染者を出さないという意識を常に持ちながら、祭りを楽しんでほしい。

 県内では、八月に福島市の福島わらじまつりや郡山市の郡山うねめまつり、いわき市のいわき花火大会といった集客力の大きい行事が三年ぶりに通常と同様の規模で開催される見通しだ。相馬野馬追の成功で、こうした県内の夏祭りに弾みをつけたい。

 政府は六月一日から水際対策を緩和し、入国者の全員検査を縮小した。さらに、都道府県が行う「県民割」を七月上旬から全国に広げる旅行支援に乗り出す。全国の新型コロナの新規感染者は高止まりにある。そうした中での政府の対応は、ウィズ・コロナで社会や経済活動を動かす方向にかじを切った形だ。相馬野馬追が、時勢にかなった祭典のありようを示すことができれば、国内外から注目を浴び、新たな伝統を刻むことができるだろう。(平田団)

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