ふくしま2022参院選

【2022参院選 福島県民のまなざし】避難指示解除 「復興」熱い論戦を 被災地は課題山積

2022/06/29 10:12

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いわき市の災害公営住宅で避難生活を送る双葉町の松本さん。避難指示解除は目前に迫るが帰還の判断はつかない
いわき市の災害公営住宅で避難生活を送る双葉町の松本さん。避難指示解除は目前に迫るが帰還の判断はつかない

 東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域では、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除が進む。葛尾村に続き、30日には大熊町の解除が控えるが、参院選の論戦で復興がテーマに上がることは少ない。住民の帰還が進まないなど持続的な復興に向け課題が山積する中で、避難者らは被災地に寄り添った施策の実現を候補者に求める。

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 大熊町の復興拠点の避難指示解除が決まった28日、拠点内に自宅がある無職猪狩瑛一さん(79)は、福島市の避難先で「古里再生の大きな一歩になる」と解除後の復興加速化に期待を寄せる。

 町は、復興拠点内にあるJR大野駅周辺の再開発を進め、産業交流施設や商業施設を整備する計画だ。しかし、開所は2024(令和6)年12月になる見通しで、当面は駅から約4キロ離れた大川原地区が買い物など生活の場になる。猪狩さんは将来的に自宅に戻ろうと考えているが、今は生活のしにくさから決断ができていない。

 参院選では物価高に注目が集まり、復興に関する議論が聞こえてこないことに危機感を募らせる。「生活環境の整備をはじめ、被災地には課題が山積している。各党はもっと被災地に目を向けるべきだ」と訴える。

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 「東日本大震災から11年以上が過ぎた。被災者の実情に合った施策は展開されているのか」。原発事故に伴い、いわき市の災害公営住宅勿来酒井団地で避難生活を送る双葉町の松本節子さん(71)は不満を口にする。

 町は復興拠点について6月以降の避難指示解除を目指している。ただ、医療福祉や生活環境、中間貯蔵施設、放射性物質の問題など、山積する課題に帰還の判断はつかない。

 避難生活の長期化により団地に住む町民の中にも帰還を諦める人が増えてきたという。国の復興施策により具体性があれば、帰還を諦める人も減ったのではないかと感じている。「これまで被災地の声は国政に届いていなかった。被災者に寄り添って復興を進めてくれる人に投票したい」と期待を込める。

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 川俣町山木屋地区に住む無職広野隆俊さん(78)は、2017(平成29)年3月の避難指示解除直後に自宅に戻った。参院選の各候補の声を比較すると、避難指示解除の加速に重点が置かれているように感じる。「既に解除された地域の活性化にも力を入れるべき」と求める。

 同地区の居住者は6月1日現在、159世帯334人で居住率は5割程度。高齢化率は6割を超えている。広野さんは妻ミネ子さん(77)とともに生活しているが、原発事故前に同居していた長男家族は川俣町中心部で暮らしたままだ。

 祭りなどの地区行事の再開も見通せない。「帰還した住民が安心して生活し、地区外から人を呼び込めるような健康センターなどの整備が必要ではないか」と強調した。