ふくしま2022参院選

【ふくしま2022参院選 比例情勢】[与党] 保守票奪い合い激化 地元と業界支持交錯

2022/07/03 09:58

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 10日投開票の参院選は選挙区で74議席、比例代表で50議席が改選される。比例代表は全国を舞台に党内の候補者と議席を争い、党名での得票だけでなく個人名での得票が当落を左右する。福島県在住では自民党の元職、日本維新の会の元職、共産党の現職と新人の計4人が立候補した。政党だけでなく、業界団体や労働組合などから支援を受ける各候補者の票の奪い合いは激しさを増している。散在する比例票をいかに集めるのか、与野党の動きを追う。


■福島県関係の比例代表立候補者 (敬称略)

岩城 光英 72 自 民 元(いわき市在住)

山口 和之 66 維 新 元(郡山市在住)

岩渕  友 45 共 産 現(福島市在住)

丸本由美子 59 共 産 新(須賀川市在住)


 比例代表で自民は、政党別最多の33人を立て、前回2019(令和元)年に獲得した19議席の維持、拡大を狙っている。県内では各業界団体が抱える「組織内候補」、元法相の元職岩城光英(72)=いわき市在住=らが連日、課題解決に向けた政策を訴えている。物価高などの有事が続く中、上位当選で国政での存在感を高めて政策実現力を発揮するため、政党名ではなく自身の名前をいかに投票用紙に書いてもらうかに腐心している。

 前々回2016(平成28)年の比例代表で自民が県内で得た約30万票のうち、候補者名が記載されたのは約2割に当たる約6万2000票。前回2019年は約3割と若干増えたが、比例票の大半は政党名だ。さらに、自民は今回、当選できる候補者を優先的に決める「特定枠」を二枠設けたため、当選圏は狭き門と言われる。

 今回、各陣営が「候補者の上位当選が必須」とする背景には物価高騰、新型コロナウイルス感染拡大などの有事が相次いでいる現状がある。中央省庁への発言力を強め、苦しむ業界や福島県の実情に応じた施策を早急に実現させるには「圧倒的な得票」で結果を示す必要があるためだ。

 全国のJAを挙げて支援する候補は6月末、農業県である福島県のJAや関係施設を巡り、肥料や資材の価格急騰を「食料安全保障の重大な危機」と訴えた。農地を守るための担い手確保、生産者の収入増加の仕組みづくりにも意欲を示した。

 建設業界では東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の復興特需が終わり、資材高騰が足元に押し寄せる。建設団体は組織の末端まで投票を徹底するよう会員企業に呼びかけるなどし、支援する組織内候補の当選を後押しする考えだ。

 医療系団体は福島県選挙区に立候補した元県医師会副会長の新人星北斗(58)と組織内候補をセットでアピール。医師不足が深刻な福島県での医療充実を訴え、相乗効果を狙う。ただ、医療福祉系は7人が乱立し混沌(こんとん)としている。

 福島県を地盤とする岩城は地元感をアピールし、東京一極集中の是正などを訴えている。士業や工務店、葬祭業の全国組織の協力を得たが、多くの業界団体の組織内候補と争う中、陣営関係者はどこまで集票できるか危機感を募らせる。

 業界団体の中には、閣僚を経験し参院議員を三期務めた岩城の熱烈な支持者がいる。ある団体の関係者は「支持動向は複雑に絡み合っている。組織票の行方は読み切れない」と頭を悩ませる。

 連立政権を組む公明党は比例代表に17人を立てている。福島県では、重点候補の現職横山信一(62)の当選を目指し、公明県本部と自民県連が選挙協力で合意。互いに4万票を福島県選挙区の星、比例代表の横山に寄せ合う戦略だ。公明が推薦する星の個人演説会や街頭演説に公明の国会議員や県議、市町村議が立ち会うなど両党への支持拡大を図っている。

 ただ、互いに4万票を出し合うという具体的な数値目標を公表したのは初めてで、「自民にとっては経験のない大きな数字だ」(県連幹部)。自民県議の後援会や、星が理事長を務める病院を中心に票をまとめる方向だが、公明側からの積極的な働きかけに困惑する自民関係者もいる。

 公明内では後半戦に入り、自民内部での組織票の締め付けが厳しくなったためか、公明への支援の動きが鈍くなってきたとみる向きもある。公明県本部幹部は「選挙協力をしている振りで結果が出るほど甘くはない。互いにどこまで票を積み上げられるかを見ていきたい」という。

(文中敬称略)