論説

【健康寿命延伸へ】フレイル予防心がけて(7月4日)

2022/07/04 09:21

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 高齢によって心と体の働きが弱くなる状態を「フレイル」と呼ぶ。「もろさ」「はかなさ」など虚弱さを表す英語を基にした言葉で、近年、健康寿命を延ばす上での課題として注目されている。「健康」と「要介護」の中間に当たり、何も対策をしないと介護が必要になる可能性が大きくなる。逆に言えば、予防や改善できる段階でもある。自分らしく、健康で長生きするために、フレイル予防を習慣として生活に取り入れよう。

 フレイルには身体的、精神・心理的、社会的の三つの側面がある。①体重減少②筋力低下③疲労感④歩行速度の低下⑤身体活動の低下-のうち、三項目以上に該当するとフレイルと判定される。国や県は、より詳しいリストをホームページなどに載せている。自身の状態をチェックすることが、健康寿命への意識付けにつながる。

 健康の意味合いは年代で異なる。若い世代にとっては病気でないことを指し、高齢者は「自立して生活できること」を意味する。自立に向けて、まずは身体的なフレイル予防の取り組みを広げたい。

 福島医大保健科学部理学療法学科の高橋仁美教授は、適度な運動が重要と説く。体を動かした際に筋肉から分泌される物質が全身に好影響をもたらすとし、「運動は薬である」と明言する。コロナ禍や猛暑で外出機会が減っても、自宅などで簡単にできる運動を本紙連載でも紹介している。

 岡山大の研究チーム(予防歯科学)は、舌の動きを滑らかに保つことが予防につながる可能性があるとの見解を今春、発表した。例えば、一秒間に続けて「タ」を六回以上発音できない人は、二年後にフレイルに陥りかねないという。研究を続け、予防の実践方法を考案するとしている。

 国は運動に加え、適切な栄養補給と社会参加を勧める。バランスのとれた食事を三食しっかり取り、趣味やボランティア、就労などで外出するよう促す。日々の暮らしの中に、この三つの要素を上手に組み込むことが大切だ。

 県民の健康寿命の指標となる「お達者度」(二〇一九年)は、男性が一七・四六年、女性は二〇・六一年だった。六十五歳時からの平均余命のうち、介護保険の要介護1以下で過ごせる期間を表す。長いほど好ましいが、男女ともに全国平均より一年近く短い。フレイル予防は解決への有効な手段になる。自分事として心に留めてほしい。高齢者が健やかに長生きできる社会は誰もが求めている。家族はもちろん、地域の支えも欠かせない。(古川 雄二)