論説

【参院選】民主主義の再認識を(7月11日)

2022/07/11 08:45

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 民主主義とは何か。深く考えながら過ごした一日ではなかったか。二日前に安倍晋三元首相が街頭演説中に撃たれ、死去するという異常事態の中で投開票日を迎えた。第二十六回参院選は、改選された百二十五の議席のうち自民党が単独で過半数を占めることが確実となった。与野党を問わず当選者は街頭などで訴えた公約の実現に向け、これまで以上に真摯[しんし]に取り組まなければならない。

 改選一議席の本県選挙区は五人が立候補した。自民党が公認し公明党が推薦した星北斗氏と立憲民主党、国民民主党、社民党が推薦し共産党が支援した野党統一候補で無所属の小野寺彰子氏の事実上の一騎打ちとなった。終始、リードを保った星氏が小野寺氏の猛追をかわして初当選を果たした。星氏は「ふくしまの“命”を守る」を掲げ、子どもを産み育てやすい社会づくりや地域医療の充実を訴えた。医療行政に精通した即戦力として期待したい。

 国政の課題は山積している。急激な物価高や円安、長期化する新型コロナ感染症への対応など落ち込んだ経済対策は早急に手を打たなければならない。憲法改正や社会保障制度は国家の将来像を見据えながら、分かりやすい議論が求められる。ロシアのウクライナ侵攻で表面化した食料とエネルギーの安全保障も方向性を示すべきだろう。

 県内に目を向ければ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興は道半ばだ。帰還困難区域の設定された特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除が進むが、この流れを帰還困難区域全体にどう広げていくかが最大の課題と言える。原発でたまり続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出は政府方針にどう向き合うのかにも注目したい。

 投票率は今回も伸びなかった。本県選挙区は53・40%で、過去三番目に低かった。約半数が憲法に定められた国民の権利を行使しない現状には愁いしかない。われわれ有権者側も投票行動こそが民主主義の根幹と再認識すべきだ。

 自民党総裁選の任期満了は二年後、次の参院選は三年後に控える。衆院解散がない限りは岸田文雄首相による自公政権が安定期に入るとみられる。野党の弱体化はさらに進んだ感が否めない。「国難」とも言える国情をみれば、緊張感のない国政運営は許されない。国家公務員法上、国会議員は「特別職の国家公務員」に位置づけられる。国民に選ばれた議員は国民全体の奉仕者であることも忘れてはならない。(安斎 康史)