論説

【東京五輪1年】レガシーを地域の力に(7月21日)

2022/07/21 09:19

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 東京五輪のソフトボール開幕戦が昨年七月二十一日、福島市の県営あづま球場で行われて一年が過ぎた。県内では大会のレガシー(社会的遺産)を継承する動きが広がっている。五輪の感動を改めて心に刻み、スポーツに対する県民の関心をさらに高めて、地域の活力につなげていかねばならない。

 あづま球場では、ソフトボールに続いて野球の予選も繰り広げられた。ともに日本代表が二戦二勝と好発進し、勢いを保って金メダルを獲得した。人工芝に張り替えられたグラウンドは選手に好評で、地元の子どもたちから「憧れの球場でプレーしたい」との声が相次いだ。

 野球少年の夢をかなえようと昨年十一月、あづま球場で県野球連盟支部対抗の六年生選抜軟式野球大会が初めて開かれ、県内七方部の小学生チームが出場した。日本女子ソフトボールリーグ一部・決勝トーナメントの会場にもなり、小中学生らが迫力あるプレーを観戦するなど、次世代が一流の競技に触れる機会は増えた。まさしく五輪効果と言える。

 今年八月はソフトボール女子の日米親善試合、九月は東都大学野球・一部の秋季リーグ開幕戦が予定されている。「五輪の舞台」として球場の存在感は高まっている。

 五輪は競技以外にも多くの財産を残した。一つは県産桃への高い評価だろう。ソフトボール米国代表監督が交流サイト(SNS)に投稿した「(福島の)桃はデリシャス(おいしい)」の書き込みはネット上で話題になった。国内外に魅力が発信され、生産者の自信になったはずだ。今年も桃の季節を迎えた。海外の監督が寄せてくれた言葉をうまく生かし、消費拡大を図ってもらいたい。

 都市ボランティア「シティキャスト」の存在も心強い。五輪本番での活動は新型コロナ禍で中止になったものの、現在も七百三十一人が登録し、県内スポーツ関連行事などを裏方で支えている。メンバーの心温まる応対が本県のイメージを高め、新しい交流が始まる。そんな好循環をつくり出すためにも活動の場をもっと拡大させたい。

 内堀雅雄知事は十九日の定例記者会見で、「レガシーを生かした取り組みを積極的に展開していく」と意欲を示した。大規模大会の誘致とともに、子どもとアスリートが交流する機会の創出に力を入れるという。五輪の成果を次代に伝える活動はスポーツ、教育、文化と幅広い。県をはじめ官民一体で永続的に進める必要がある。(角田守良)