論説

【岸田改造内閣】復興の停滞許されない(8月11日)

2022/08/11 09:10

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 第二次岸田改造内閣で、東日本大震災からの県土再生を担う復興相、東京電力福島第一原発の廃炉を主導する経済産業相、除染などを担当する環境相の顔触れがまたしても一新された。前任者の在任期間はわずか十カ月だった。復興、廃炉、除染の先行きが依然として不透明な中、腰を据えて長期的な施策を検討する時間もなかったのではないか。県内の被災地は一から関係づくりに取り組まなくてはならなくなる。停滞も後退も許されない。

 前経産相の萩生田光一氏は八日の記者会見で「福島の復興という、わが省にとって最も重要な案件が控えている。当然継続してやっていくのが望ましい」と続投を希望した。福島第一原発の処理水問題などを踏まえての発言で、県民の思いにも通じていた。結果として交代は、被災地を軽視しているとしか映らない。

 処理水問題は全国的な理解の醸成が課題となっている。県内では漁業者らを中心に反対の声が根強い。経産相に就任した西村康稔氏は、経済再生担当相として新型コロナウイルス対策を主導する立場にあった。処理水問題でも経験を生かして国民が納得できる解決策を打ち出すべきだ。

 復興相の秋葉賢也氏と環境相の西村明宏氏はともに宮城県を地盤とする。被災者の気持ちは熟知しているはずだ。前任の復興相は沖縄北方担当相を兼務したが、秋葉氏は専任となった。被災地に足しげく通い、復興が道半ばの本県の現状を政策に反映させてほしい。

 岸田文雄首相は十日の記者会見で「東日本大震災からの復興は引き続き、岸田内閣の重要課題」と説明した。復興はインフラ整備から教育、文化分野と幅広い。全閣僚が意識を共有する必要がある。

 改造内閣は、閣僚十九人のうち、初入閣が九人で、留任や再登板を含む経験者が過半数を占める布陣となった。国民の暮らしを脅かす各種課題への対応は急がなくてはならない。

 新型コロナウイルス対策は、日常生活と経済活動を両立させる出口戦略を求める声が出ている。円安、物価高を受けた経済対策では、首相の看板政策「新しい資本主義」の道筋が見えてこない。打開に向け、政府一丸で取り組む必要がある。

 不安定な国際情勢への対応とともに、憲法改正や防衛費の増額などは丁寧な議論が前提となる。少子化や人口流出による都市部との格差是正など、本県をはじめ地方が抱える問題にも全力で取り組んでもらいたい。(角田守良)