論説

【サイクルトレイン】会津地方を聖地に(8月12日)

2022/08/12 09:05

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 会津鉄道(本社・会津若松市)は、自転車を列車に乗せて目的地まで移動できる「サイクルトレイン」を活用した日帰りツアーを九月に催す。開業三十五周年を記念した企画だ。人口減少に伴い、乗客数の減少が懸念される中、列車と自転車で巡る旅のファンを増やし、鉄道のさらなる観光利用と会津地方への誘客に結び付けてほしい。

 会津鉄道は二〇一〇(平成二十二)年四月に西若松駅(会津若松市)-会津田島駅(南会津町)間でサイクルトレインの運行を始めた。当初は予約制で土曜日と日曜日、祝日のみだったが、現在は大型連休やお盆、紅葉シーズン、年末年始の繁忙期を除き通年にわたって予約なしで利用できる。西若松駅発が午前九時~午後四時発、会津田島発が午前八時~午後四時発までの列車(お座トロ展望列車を除く)が対象となる。

 日帰りツアーは「会津街道サイクリング」と銘打ち、九月四日に開催する。西若松駅で自転車とともに列車に乗り込み、会津田島駅で下車する。壮大なソバ畑で知られる下郷町の猿楽[さるがく]台地や塔のへつりなどを自転車で巡りながら西若松駅を目指す。約六十五キロのコースで、自然豊かな会津の景色を満喫できる。

 近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響などでサイクルトレインの利用が少ないという。乗客を増やしていくには、こうしたイベントを通じて実際に体験してもらう取り組みが欠かせない。野岩鉄道(本社・栃木県日光市)も二〇二〇(令和二)年六月から予約制で車内への自転車の持ち込みを受け付けている。今後は近隣の路線が連携し、サイクルトレインの魅力を発信していく必要がある。

 加えて、十月一日に全線再開通するJR只見線にもサイクルトレインを走らせてはどうか。只見線の停車駅でもある西若松駅は駐車場を備え、既に実績がある。ここから乗車し、お目当ての駅で降りれば、周辺を自転車で散策できる。帰りがてらサイクリングをするのも楽しい。沿線の自治体では、駅からの二次交通の手段をどう確保するかが課題となっている。レンタルサイクルを設ける動きがあるが、自前の自転車で観光したいニーズにも応えられる。

 何より列車に自転車を持ち込める路線が増えることで、会津全体の周遊観光に弾みがつく。猪苗代方面や喜多方方面などJR磐越西線沿線にも広がれば、サイクルツアーの選択肢が増え、一層の誘客が期待できる。サイクルトレインの聖地として会津地方に光を当てたい。(紺野正人)