論説

【郡山市子育て宣言】街の魅力につなげたい(8月16日)

2022/08/16 09:05

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 子どもを産み育てやすいまちづくりを進めるため、郡山市は日本青年会議所(JC)が推奨する「ベビーファースト運動」への参画を宣言した。市のみならず子どもを取り巻く現状は厳しく、施策を総動員した取り組みを展開する必要がある。

 市は宣言を機に、乳幼児食の開発、公園整備、切れ目のない教育、セーフコミュニティー、世代間交流などの観点から、全庁的に「ベビーファースト」を推進する。市民の需要を把握し、おむつ替えや授乳ができる民間施設「赤ちゃんニコニコステーション」の拡充とマップ化などの施策を検討するとしている。

 市内の女性一人が生涯に産む子どもの推定人数を示す二〇二〇(令和二)年の合計特殊出生率は一・三八で、一九八五(昭和六十)年以降で最低だった。県平均の一・三九も〇・〇一ポイント下回った。全庁で危機感を共有して、実効性のある対策を打ち出すことが求められている。

 独自の子ども政策で街の魅力を高めようとする自治体が全国にはあり、特に兵庫県明石市の事例は示唆に富む。高校三年生までの医療費と第二子からの保育料、中学校の給食費、プールや博物館などの公共施設の利用料、一歳までのおむつ配達の「五つの無料化」を所得制限なしで実現させた。子育てしやすい街との評価が定着し、二〇一三(平成二十五)年以降は九年連続で人口が増えた。転入者は働き盛りの世帯が多いという。二〇二〇年の合計特殊出生率は一・六二と国の一・三三を大きく上回っている。

 公共事業費を減らし、子ども予算を倍増させた明石市の手法は、どの自治体でもまねできるものではない。反発も予想されるとはいえ、地域を挙げて子育て世代を応援すれば子どもは着実に増え、同世代のニーズに応えようと、住みやすいまちづくりが一段と進むことは数字が示している。地域経済の活性化にもつながり、明石市では好循環が生まれているように見える。

 民間調査の「街の住みここちランキング2022」で郡山市は県内で二年連続の一位だった。ただ、東北六県版では宮城県富谷市がトップで、郡山市は十八位にとどまった。子育て環境を含め居住満足度を高める余地はある。

 「こども家庭庁」が来年四月に発足する。子どもへの支援は未来への投資と捉え、社会全体で支える仕組みづくりが欠かせない。子ども政策の変革は、新型コロナウイルスの感染拡大などで閉塞[へいそく]感が漂う社会に明るい兆しをもたらすはずだ。(浦山文夫)