論説

【会津地方大雨災害】早期復旧へ道筋示せ(8月20日)

2022/08/20 08:36

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 会津北部を襲った大雨は各地に大きな爪痕を残した。公共土木施設は十五日現在で道路や河川など二百五十六カ所で被害が確認され、被害額は約六十二億円に上る。JR磐越西線濁川橋りょうの崩落による喜多方市-西会津町区間の不通や、一二一号国道「大峠道路」の山形県側の通行止めが続くなど、住民の足への影響は依然として甚大だ。物流、観光への影響も大きい。国、県、JR東日本など関係機関は早期に復旧策を示す必要がある。

 二つの交通路線は歴史的な重みもある。磐越西線は今回の不通区間を含め、二〇〇九(平成二十一)年に経済産業省の「近代化産業遺産」の認定を受けている。会津若松市の旧会津若松機関区扇形機関庫や転車台、喜多方市の「一の戸橋梁」などで、蒸気機関車「SLばんえつ物語号」も運行されている。一の戸橋梁は長さ四百四十五メートルの鉄橋で、一九一〇(明治四十三)年に完成した。橋の上を疾走するSLはもとより、地上十七メートルを走る列車の姿は写真愛好家らに人気のスポットとして知られる。

 喜多方市と山形県米沢市を結ぶ大峠道路は二〇一〇年に全線開通して以来、交流の重要路線となっている。明治から昭和初期の大改修を経て、一九九二年には大峠トンネルを含む県境部分など一八・六キロ区間の供用が始まった。かつては幅員が狭い上に、冬期間は積雪で通行できなかったが、一年を通して通行可能となった。

 大雨により米沢市内の二カ所でのり面が崩れ、道路の一部が損壊した。通行止め区間は一六・五キロだが、車で通常四十分程度の道のりが高速道路を使い、福島市を経由すると約二時間はかかる。北塩原村から西吾妻スカイバレーを抜ける道路は、カーブが連なり、道幅も狭く一時間半以上を要する。冬季は閉鎖になる路線でもある。

 JR東は不通区間で代行バスを運行し、当面、往来に支障はないようにみえるが、中・長期的な相互交流への懸念は残る。大峠道路も片側で通行できるような応急策が求められる。喜多方市の会津喜多方商工会議所は、関係機関へ早期の補正予算編成や生活インフラ復旧に向けた支援の要望を展開している。被害は広域的で、激甚災害指定による予算面での対応は急務だ。

 新型コロナ禍で地方の経済は著しく疲弊している。大雨からの復旧が遅れれば、深刻度はさらに増す。影響は本県にとどまらない。山形、新潟など県の枠を超えた連携も欠かせない。(石井 賢二)