養殖ゴイ、カワウの捕食被害に 対策に苦慮「特産化に水差す」 福島県郡山市

2022/08/27 10:09

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餌に群がるコイを見つめる熊田さん。カワウによる捕食被害に頭を悩ませる=郡山市
餌に群がるコイを見つめる熊田さん。カワウによる捕食被害に頭を悩ませる=郡山市

 養殖ゴイの市町村別生産量が全国1位の福島県郡山市で、コイが大型の水鳥・カワウに捕食される被害が後を絶たない。近年は年間生産量740トンの7%に当たる50トンが捕食され、被害額は約2500万円に上る。新たなコイ料理の開発など魅力発信の動きが本格化する中、市や養殖業者は「地域活性化の取り組みに水を差す」と厄介な相手に苦慮している。

 緑に囲まれた福島県郡山市逢瀬町の北沢池。県内のコイ養殖業者ら4社でつくる南東北内水面養殖漁業協同組合(旧県南鯉養殖業協同組合)の組合長熊田純幸さん(79)=熊田水産社長=は餌に群がるコイを見つめ嘆く。「育つ前にカワウにやられる。対策の効果はなく、まるで食べ放題だ」

 1960(昭和35)年にコイの養殖を始めた。現在は郡山など4市村の計15カ所の池で飼育し、熊田水産のオリジナルブランド「磐梯鯉」として活魚と加工品を県内外に出荷している。

 市は、コイの食文化の復活と拡大に向けて「鯉に恋する郡山プロジェクト」の活動を活発化させている。市内で今月開催されたビール祭では限定販売した新商品「スパイシーフライドカープ」が大好評を得た。24日にはコイなど市産品の魅力を発信する飲食・旅行関係者向け体験型ツアーを初めて催した。

 コイを盛り上げようという関係者の努力にもかかわらず、カワウの被害は続いている。カワウは1日に500グラムの魚を食べるとされている。熊田水産では冬季に放流した50~200グラムの稚魚の8~9割が捕食され、年間1000万円以上の損失が出ている。

 コイはミネラルが豊富な猪苗代湖を水源とする自然の池で育てる。大きい池は約30ヘクタールあり、カワウの侵入を防ぐ網やロープを張り巡らせるのは難しい。花火などで威嚇するが、大きな音に慣れた鳥への効果は薄い。

 熊田水産は十カ所の池に花火の音で追い払うアルバイトを置く。年間1500万円の人件費も負担だ。熊田さんは「カワウの数が減るような対策を考えてほしい」と求める。

 郡山市は市鳥獣被害防止計画に基づき被害軽減を目指している。植木一雄市農林部次長兼園芸畜産振興課長(58)は「消費者に商品を安定供給するため、組合と連携した被害対策や商品づくりに努める」としている。


■福島県内の被害、1億8409万円2021年度

 福島県によると、カワウによる2021(令和3)年度の水産被害は1億8409万円で、前年度に比べ2340万円増えた。アユ、イワナ、ヤマメなどを中心に捕食被害が確認され、被害額は毎年1億5000万円前後に上るという。

 福島県いわき市の鮫川漁協によると、アユ釣りの最盛期を迎えている鮫川では毎朝、100羽程度のカワウが確認されているという。アユのシーズンを中心に年間約500万円の被害があり、花火による追い払いや駆除の費用も年間100万円程度になる。

 事務局の緑川恵男さん(80)は「組合の存続に関わる重要な問題」と危機感をあらわにする。

 福島県は営巣地での試験的銃猟や被害防止策、捕獲手法の検討を進めている。2022(令和4)年度から5年間の福島県カワウ管理計画(第4期)では、夏季生息数の目標を、被害が顕在化する前の2001(平成13)年当時と同じ680羽程度とした。

 福島県によると、県全体のカワウ生息数は減少傾向だが、災害などで消失した営巣地が別の場所で復活しているという。