世界が認めた「会津レンズ」 福島県磐梯町のシグマ工場製 映画「トップガン」撮影 最高峰の光学性能評価

2022/08/29 09:51

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「トップガン マーヴェリック」の撮影に使われるなど高い評価を得ているシネレンズを紹介する山木社長
「トップガン マーヴェリック」の撮影に使われるなど高い評価を得ているシネレンズを紹介する山木社長
映画「トップガン マーヴェリック」より((C)2022 PARAMOUNTPICTURES CORPORATION.ALL RIGHTS RESERVED.)
映画「トップガン マーヴェリック」より((C)2022 PARAMOUNTPICTURES CORPORATION.ALL RIGHTS RESERVED.)

 世界中で大ヒットしている映画「トップガン マーヴェリック」の撮影に、レンズメーカー・シグマ(本社・川崎市)の福島県磐梯町にある会津工場で作られたシネレンズ(映画用レンズ)がメインで使われた。戦闘機同士のドッグファイトなど迫力ある映像が魅力の話題作を映像面で支えたのは、長年会津で磨き続けてきた世界最高峰の光学機器技術だった。


 「撮影スタッフに、100年近い歴史のある欧米のブランドと比べても当社のレンズが最も優れていたと評価された。本当にうれしかった」。シグマの山木和人社長は撮影にシネレンズを使用すると連絡が来た時を振り返る。

 映画業界は実績や信用が評価される傾向があり、歴史あるブランドのレンズが使用されることが多い。このため、日本メーカーが参入する余地はなかった。しかし、トップガンの撮影スタッフはリアルな臨場感のある映像を撮るため、鮮明な表現ができるレンズを求めていた。撮影は2018(平成30)年から2019年にかけて行われた。

 シグマがシネレンズ製造に参入したのは2016年。わずかな時間でハリウッドの大作に採用され、業界最高峰と認められたのは高い光学性能が評価されたからだ。

 シネレンズは加工しやすいプラスチックではなく、金属部品を作って組み立てるため、非常に高い加工精度が求められる。特にレンズ部分はカメラ以上の精緻さが必須で、何十枚もの凹凸レンズを磨き、組み立てることで細かい部分まで映像として記録できる高性能なものに仕上がった。会津工場には県内の協力企業と半世紀の間、培ってきた写真用レンズの技術があった。シネレンズにも活用し、短い期間で高性能の製品作りを可能にした。

 山木社長は「(選ばれた当時)性能は世界トップクラスと確信していた。米国は『良いものは良い』と評価する気質がある。歴史がなくとも製品をよく見て判断してくれた」と語る。ホンダやトヨタの車の性能の良さをいち早く認めたのも米国だった。

 写真用のカメラやレンズ業界は、日本企業が世界で高いシェアを誇っている。「会津の工場が世界最高だといわれるまで技術を高めて、レンズの聖地化を目指す。シネレンズもハリウッドのニーズに応え続けられるよう最先端の技術を追求していく」。会津発の高い技術を世界にアピールし続ける。


【シグマ製シネレンズが使われた主な作品】

■海外

・テレビシリーズ「TOKYO VICE」

・テレビシリーズ「WELCOME TO EARTH」

■国内

・大河ドラマ「青天を衝(つ)け」

・映画「ザ・ファブル」

・映画「大怪獣のあとしまつ」

・映画「カイジ ファイナルゲーム」


※「トップガン マーヴェリック」 1986(昭和61)年公開の大ヒット作の続編。前作に続きトム・クルーズさんが主演した。米海軍のエリートパイロット養成学校に教官として着任した主人公が、若手パイロットらとミッションに挑む。世界的にヒットが続き、日本では5月27日の封切りから7月31日までに興行収入101億3000万円を記録した。コロナ禍以降、100億円を超えた洋画は初めて。県内では福島市のイオンシネマ福島とフォーラム福島、郡山市の郡山テアトル、いわき市のポレポレシネマズいわき小名浜で上映している。