水害の記憶、記録に 福島県の川俣高生がデジタル地図作成へ 2019年台風19号被害 川俣・小島地区

2022/08/30 14:24

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
落合区長(右)とともに広瀬川沿いの被災状況を調査する生徒ら=29日
落合区長(右)とともに広瀬川沿いの被災状況を調査する生徒ら=29日

 福島県川俣町の川俣高生は、2019(令和元)年10月の台風19号に伴う河川氾濫で被災した町内小島地区の被害実態を調査し、記録に残す活動を始めた。小島地区自治会などと連携し、今年度中に実態に即した浸水範囲や被災程度などをまとめたデジタル地図を完成させるとともに、住民に配布するための防災マップ策定も目指す。復旧工事が続く中、現地を歩く「生きた社会学」を通じて水害の教訓を後世に伝え継ぐ。

■被災地電子地図、防災マップ策定へ

 小島地区は台風19号の影響で、地区を縦断する一級河川・広瀬川が氾濫した。住宅や橋の流失をはじめ、床上・床下浸水、道路の寸断、土砂崩れなどが各所で発生した。

 川俣高は地元の課題解決などに積極的に取り組む「地域協働推進校」に位置付けられており、全校生46人が総合学習の一環で取り組んでいる。町社会福祉協議会と東京都のNPO法人「AAR Japan(難民を助ける会)」が協力し、専門的な見地から助言している。

 高校生は29日、四班に分かれて現地調査を行った。住宅が流失するなど地区内で最も被害が大きかった岩阿久(いわご)行政区には生徒約10人が入った。落合幸男区長(71)の案内で、住民から被害や避難状況などを聞き取った。復旧工事の現場では、発災直後に撮影された写真と現状を見比べながら理解を深めた。

 10月まで現地調査などを行った後、デジタル化した地図に実際に調べた浸水範囲や被災区分、発災当時と現在の画像などをまとめていく。生徒が気付いた危険箇所も落とし込む。紙の地図より多くの情報を集約できるため、災害時の危険性を詳細に伝えられる利点があるという。

 自治会は防災訓練や研修会でデジタル地図を活用し危険箇所の確認、早期避難の必要性などを訴え意識高揚につなげる考えだ。こうした情報に日常的に触れてもらうため、防災マップの配布も検討していく。

 同校ボランティア委員会の斎藤己滉(おとひろ)委員長(17)=3年=は「被災地を実際に歩くことで、防災の重要性を感じた。地図を通じて地域住民の役に立ちたい」と前を見据える。

 自治会の鈴木栄一会長(72)は「地域の防災活動をけん引する人材の育成につなげる契機にしたい」と話す。町は小島地区での取り組みを発信しながら、町民の防災意識の向上を後押しする方針だ。

 県河川整備課の担当者は「復旧工事の概要説明など、協力できる部分があれば連携していきたい」と話した。