論説

【全国和牛共進会】本県の実力示そう(9月2日)

2022/09/02 09:05

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 鹿児島県で十月六日から開かれる国内最大の和牛品評会、第十二回全国和牛能力共進会(全共)に本県から出品される十八頭が決まった。悲願の日本一も夢ではない水準の高さだという。全国に本県畜産業の実力を示し、ブランド力や販売価格の上昇につなげたい。

 全国和牛登録協会が主催する五年に一度の全共は、「和牛のオリンピック」と呼ばれる。牛の体形や品位を評価する「種牛の部」と、枝肉の質や量を審査する「肉牛の部」があり、生後月齢などで区分された全八区で競う。今大会は他に「高校・農業大学校の部」が新設された。各道府県を代表する約四百六十頭が集結する。

 県内の関係者は種雄牛「勝忠安福[かつただやすふく]」の産子に期待を寄せる。県勢十八頭のうち、十頭を占める。この種雄牛の血を引き継いだ産子は、枝肉の検査で質、量ともに本県畜産史上で最高の数値を打ち出してきた。前回の全共では東日本トップ、全国六位に入り、実力を証明した。その後も交配相手となる雌牛との相性や飼育技術の研究が進み、レベルは一層高まった。関係者が「福島の最高傑作」と称賛するのもうなずける。

 ライバルとなるのが鹿児島県や宮崎県とみられている。肉用牛の飼養が盛んで、各区分で常に上位争いを演じている。今回は九州開催のため、輸送による牛への負担が少なく、地の利もある。本県勢は陸送に三日を費やす。牛の体力消耗やストレスをどう最小限に抑えるかが鍵となる。獣医師が付き添い、移動時に休憩を小まめに取り入れるなどきめ細かい対策を講じるのは心強い。

 全共の結果は、家畜市場の取引価格に影響を及ぼす場合がある。入賞牛と同じ血統の良質の子牛を買い求める人が全国から集まれば、競りで価格が上がる。農家の収入が増え、経営も安定するという好循環が生まれる。後継者不足や飼料高騰などの課題に直面する県内の生産者の追い風にもなるだろう。

 「高校・農業大学校の部」は、和牛への理解醸成と担い手育成を目的に設けられた。県内は磐城農高が出場し、学校で飼育している雌牛の審査を受ける。生徒は「福島牛の良さを全国にPRしたい」と意気込んでいる。同年代の参加者との交流を通して意欲をさらに高めてほしい。

 全共まで約一カ月となった。農家と畜産団体、県が一丸となって積み重ねた努力が報われるよう、牛を万全の状態に仕上げ、本番に臨んでもらいたい。(角田守良)