知的財産のさらなる活用呼びかけ 特許庁長官就任の浜野幸一氏インタビュー=福島県南相馬市鹿島区出身=

2022/09/05 09:25

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 特許庁長官に就任した浜野幸一氏(58)=福島県南相馬市鹿島区出身=は福島民報社のインタビューに応じた。本県について「知的財産(知財)の取り組みの先進県の手本となる『ロールモデル』」と評価。県内企業の持つ高い技術力を生かすため、知財のさらなる活用を呼びかけるとともに地域の「稼ぐ力」の向上や本県復興への支援を進める考えを示した。

 ―現在の情勢を踏まえた特許庁の取り組みや方針は。

 「社会課題解決に向けた技術革新の重要性が高まる中、中小企業や大学などへの知財活用に向けた支援強化に力を入れる。所管する独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)の機能強化、中小企業への知財の専門家の派遣などに取り組む。関係機関と連携した知財相談の掘り起こしなども進める」

 ―GX(グリーントランスフォーメーション)や、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する取り組みは。

 「脱炭素社会の実現に貢献するため、太陽光発電などGXに関する世界の特許技術の区分表を作成し、特許検索式とともに公表した。調査や企業独自の強みの発信などに活用してもらえるはずだ。『世界最速・最高品質』の特許審査を堅持すべく、最新のAI技術なども導入していく」

 ―知財活用を進める本県への支援や期待することは。

 「被災地域などへの職員派遣に加え、県や関係団体と連携した福島知財活用プロジェクトでは、イベント開催や中小企業への専門家派遣などを展開した。『ふくしま知財戦略協議会』が設立され、成果として県知財戦略推進計画が策定された。福島の取り組みは進展しており他県の手本になると考える。企業も高い技術力を持っており、知財の活用を進めて『稼ぐ力』の向上、持続的発展をけん引してほしい。特許庁としても全力で応援していく」

 ―震災からの復興や本県への思いは。

 「福島の復興は経済産業省としても最重要課題。震災発生の春から半年間、古里の南相馬市に派遣され、苦難に果敢に立ち向かう県民の役に立ちたいと業務に当たった。自分を育ててくれたかけがえのない古里への感謝の気持ちを持ちながら復興と発展に貢献したい」


 はまの・こういち 南相馬市鹿島区出身。原町高、東京大学法学部卒。1989年(平成元年)、通商産業省(現経済産業省)入省。内閣官房内閣審議官、関東経済産業局長などを歴任し、2022年(令和4年)7月から現職。