「特定少年」19歳被告が殺意否認 福島県塙町の強盗殺人事件 裁判員裁判の初公判

2022/09/08 09:20

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 福島県塙町真名畑の民家で2月、無職女性=当時(75)=を殺害し、奪ったキャッシュカードで現金300万円を引き出したとして強盗殺人などの罪に問われた孫の矢祭町、建築板金業の少年(19)の裁判員裁判初公判は7日、地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)で開かれた。被告は「殺意を持って殴ったというのは違う」と起訴内容を一部否認し、殴った回数も起訴内容より少ない10回前後と主張した。4月施行の改正少年法で、起訴後の実名公表が可能となった「特定少年」で検察が実名を公表した被告の裁判は県内で初めて。

 検察側は冒頭陳述で、被告は以前、現金を引き出す祖母を送迎した際、祖母がカードや通帳を茶の間のたんすに納めているのを把握。改造した車を修理する金を盗もうと考え、2月9日夜に祖母宅に侵入したが、見つかったため殺意を持って鉄パイプで頭などを「十数回殴った」と経緯を明らかにした。

 頭を鉄パイプで殴る行為は死亡する危険性が高く、被告も危険と認識して殴打したと強調。凶器を家から持参し、侵入前に手袋を買うなど計画性があり、300万円を車の部品やブランド品に全額使った点に触れ、「計画性や悪質性などを重視すべき」と訴えた。

 弁護側は、被告は侵入した際に誰かが立ち上がる姿が見え、とっさに鉄パイプを振り下ろしたと説明。全力で殴っておらず、頭の骨も折れていないため殺意はなく強盗致死罪にとどまると主張した。被告の年齢について「精神的に未熟で、再教育の重要性を考慮すべき」と訴えた。

 被告人質問で、被告は10万円程度を盗もうと祖母宅に入り、鉄パイプを持参したのはガラスを割るためと証言。捜査段階で殺意を認めた理由は「取り調べが早く終わってほしかった」と述べた。防犯カメラの映像から逮捕される可能性があるのにコンビニATMで引き出しを続けた動機については「捕まるまでの間、自由に使おうと思った」と話した。

 公判で祖母の妹の供述調書が読み上げられた。「なぜ、こんなに痛く苦しい殺し方をしたのか。憎らしく許せない」と憤りをつづる一方、「姉の孫でもある。姉の長男や次男の気持ちを考えるとどんな処罰を求めるか。今は何も言えない」と戸惑いも浮かんだ。

 8日に証人尋問と被告人質問、9日に論告求刑、最終弁論などを行い結審する。判決公判は15日午後3時から。