虹とともに(9月10日)

2022/09/10 09:05

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 訃報が発表された直後、ロンドンのバッキンガム宮殿の上空に虹が架かったという。英国民に寄せ続けた思いが最後に七色の弧を結び、人々の悲しみを優しく包む。現地発のニュースに、慈愛に満ちた景色が浮かんだ▼エリザベス女王が九十六歳の生涯を閉じた。王室を揺るがす出来事が起きても気品と尊厳を失わず、歴代最長の君主の座を全うされた。ロンドン市民は宮殿前に集まり、涙とともに国歌を合唱した。各国の元首は次々と弔意を表明した。英国のみならず、世界から注がれた尊敬と敬愛の深さを思う▼英王室は、本宮市の英国庭園を通して本県とつながっている。開園に際して、当時のチャールズ皇太子とウィリアム王子から寄られたメッセージが記念碑に刻まれている。本宮市は半旗で哀悼の意を表した。天栄村の英国ゆかりの施設も半旗を掲げた。遠くの存在でも、親しみを感じてきた県民は多いに違いない▼二週間以内に営まれる国葬で、悼む気持ちは再び世界に広がるのだろう。折しも、日本は在任最長の元首相の国葬を巡って割れている。王室とは違うにしても、賛否にそれぞれ理はあるとしても、人心を分かつこの国がやるせない。