東日本大震災・原発事故

【震災・原発事故11年】高土山の山開き心待ち にぎわい取り戻す 福島県須賀川市の藤沼湖復旧

2022/09/13 09:02

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 東日本大震災の影響で、入山が制限されていた福島県須賀川市長沼地区の高土山(たかどやま、729メートル)で登山道の使用が許可され、18日に復興イベントの一環として住民らが登山する。来年4月には13年ぶりに山開きが行われる見通し。同地区は震災で農業用ダム「藤沼湖」が決壊した。復旧に注力する中で登山道整備などが困難となり、入山できない状況が続いてきた。地域の象徴ににぎわいが戻ることに、関係者からは「復興が一歩進む」と期待の声が上がる。

 富士山は「うつくしま百名山」に選ばれている。震災前は学校の遠足や家族の行楽で訪れる、住民にとってなじみ深い場所だった。つづら折りの登山道が初心者にも優しく、県内外からの登山客が自然を満喫し、近くの藤沼温泉「やまゆり荘」で体を休めた。震災で藤沼湖が決壊して周辺地域に甚大な被害が生じるとともに、登山口近くの施設が損壊するなどしたため、市などが高土山の国有林を管理する国から入山許可を受けていなかった。

 藤沼湖の復旧や周辺施設の整備が一段落したため、昨年春頃から住民有志や市が安全な登山ルートを決め、点検するなどの取り組みを進めてきた。その上で国に働きかけ、今月1日に許可を得ることができた。地元ボランティア団体「遊水会」も手伝った。

 12日には遊水会のメンバーらが登山道で草刈りや安全確保に向けた作業を実施した。八木沼義信会長(82)は「ようやく登山が再開できる。藤沼一帯の観光の魅力が増えることで、地域が盛り上がればうれしい」と笑みを浮かべた。

 決壊後の藤沼湖から見つかったアジサイを増やし育てるプロジェクトなどを手がけてきた藤沼湖自然公園復興プロジェクト委員会の深谷武雄委員長(77)も尽力した一人だ。「(地域の象徴の)高土山に登ることができて初めて『日常』を実感できるはず。復興に向け、さらに一歩進むことができる」と喜びをかみしめた。

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 高土山登山は18日、須賀川市長沼地区の藤沼湖自然公園三世代交流館などで開催される復興イベント「奇跡のあじさい感謝コンサート」の一環で催す。

 「奇跡のあじさい」などをきっかけに、全国各地に広がった復興への支援や応援の輪に感謝を示す。

 登山は午前8時30分から受け付けを行う。藤沼湖周辺を散策する「藤沼湖一周ウォーク」も合わせて企画している。午前11時30分からはコンサートとして、地元バンドによる演奏、長沼中の生徒による合唱などを予定している。