論説

【只見線再開通】利活用に郡山生かせ(9月14日)

2022/09/14 09:38

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 再開通が迫るJR只見線の需要喚起に郡山駅をもっと活用できないだろうか。東北新幹線や在来線が停車する鉄道網の結節点であり、磐越西線を通じて只見線とつながる東の玄関口だ。県などは観光路線として全国に売り出しているが、中通りや浜通り地方への働きかけは不十分に見える。只見線沿線の魅力を県民に周知し、県内需要の掘り起こしにも力を入れるべきだ。

 県と沿線市町などでつくる只見線利活用推進協議会は「只見線利活用計画 アクションプログラム2022」で「日本一の地方創生路線を目指して」を掲げ、魅力の向上・発信、旅行企画催行、学習列車運行、産業育成などを実施している。会津地方や首都圏での展開が多くを占めているのが現状だ。

 プログラムでは、夏から冬にかけて1600人相当の旅行企画を計画している。首都圏向け企画は売れ行きにばらつきが見られるのに対し、県内からは総じて好評という。同じ県内に住みながら、只見線に乗った経験がない、あるいは関心の高い層が多いことを示しているのではないか。新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、近隣から集客を図るマイクロツーリズム推進の観点からも、県内需要の喚起は意味がある。

 そのためには、県内向けの旅行企画や、小学校や特別支援学校の学習列車に対する補助の拡充を検討してほしい。県内の乗車経験者を増やすことが、底堅いファンの獲得につながる。また、只見駅構内で開催を予定している写真パネル展を郡山駅など県内各主要駅でも催したり、食や工芸など会津地方に息づく独自の文化をアピールしたりすることも効果があるはずだ。

 自転車を列車に積むサイクルトレインも導入したい。只見川流域や奥会津の山並みの景観は変化に富み、自転車愛好者に喜ばれよう。

 郡山駅周辺で今月3日に開かれた「わくわくフェスタ」で県只見線管理事務所が設けたブースは人気を集めた。列車のジオラマ模型にくぎ付けの子どもや、思い出を懐かしそうに語る大人が大勢いた。人それぞれ、胸の内に鉄道への物語を秘めている。そうした思いをつづる随想などを募集・公開すれば、只見線への愛着を深め、憧れを強める契機となるに違いない。

 只見線だけでなく、磐越東線、磐越西線、水郡線は赤字区間を抱え、利用者確保が課題となっている。経営状態を改善し存続を図るためにも、各路線が乗り入れる郡山駅を核に利用を促進する総合戦略が求められる。(鞍田 炎)