東日本大震災・原発事故

「福島国際研究機構」は浪江町に立地、政府が決定 略称は「F―REI(エフレイ)」

2022/09/17 09:26

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 政府は16日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の復興推進会議を首相官邸で開き、世界最先端の研究・開発や人材育成の拠点とする「福島国際研究教育機構」の本施設の立地場所を福島県浪江町にすると正式決定した。来年4月の法人設立と仮事務所開設に向け、準備を加速させる。

 本施設の予定地はJR浪江駅西側(川添地区)にある10ヘクタールの土地で、必要に応じて拡張できるだけの敷地(14・5ヘクタール)もある。浪江駅から徒歩圏内で、国道6号や国道114号、常磐自動車道浪江インターチェンジにも近く、研究者らの往来に不可欠な交通利便性が高い。

 福島水素エネルギー研究フィールドや福島ロボットテストフィールドをはじめ、各地にある既存の研究施設との円滑な連携も見込める点も評価した。国が県の提案を基に検証し、適地と判断した。

 仮事務所は浪江町権現堂の「ふれあい福祉センター」に置き、同じ敷地内の「ふれあい交流センター」の一部を使用することも正式に決めた。来年4月の法人設立後は仮事務所を拠点とし、2031年3月までに本格的に稼働させる。

 機構の英語名称を「Fukushima Institute for Research, Education and Innovation」とし、頭文字を取って略称を「F―REI(エフレイ)」に決めた。

 岸田文雄首相は会議の締めくくりのあいさつで、「新機構の設立後の長期・安定的な運営を支える組織体制、財政基盤を構築するため政府を挙げて取り組む」と強調した。

 同機構は(1)ロボット(2)農林水産業(3)エネルギー(4)放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用(5)原子力災害に関するデータや知見の集積・発信―の5分野で研究開発と産業化を推進するとともに、国際研究者を育成する。海外からも研究者を招き、約50の研究グループに計数百人の参加を想定している。