【只見線全線再開通 線路の行方(下)】周辺の環境整備で防災

2022/10/01 10:27

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第7只見川橋梁が見える景色を背に思いを語る坂本さん
第7只見川橋梁が見える景色を背に思いを語る坂本さん

 「この美しい風景を多くの人に見てほしい」。金山町橫田の第7只見川橋梁(きょうりょう)近くで農家民泊を営む坂本利幸さんは再開通を機に奥会津地方に光が当たってほしいと望む。

 田舎暮らしに憧れ、2011(平成23)年7月に滋賀県から移住した。移住先を探して全国を巡ったが、金山町の景色に最も心を奪われた。しかし、新生活を始めた直後に新潟・福島豪雨に襲われた。地域は甚大な被害を受け、只見線も不通になった。それから11年-。「当時は再開通できるとは思っていなかった」という路線が完全復旧を迎える。

 観光の起爆剤になってもらいたいが、11年前の災害が脳裏をよぎる。「自然災害はいつ起こるか分からないが、路線は永続的に残ってほしい」と願う。

 新潟・福島豪雨では会津川口-会津大塩駅間にある第5~第7只見川橋梁が流失し、さらに土砂崩れで線路が崩壊した。

 JR東日本によると、今回の復旧では洪水時の対策として、川底や堤防が削られないよう、護岸基礎工の前部分に「根固工」を実施し、雨量計や水位計などの観測機器、災害検知装置を設けた。

 また、第5只見川橋梁は橋桁と橋桁の間を広く、第6、第7只見川橋梁についても構造を変えるなどし、流水の影響を低減させている。

 ただ、気候変動による豪雨災害は頻発化している。さらなる想定外の事態が起きる可能性は否定できない。

 新潟・福島豪雨以降、県は只見川の河川整備事業を進めてきた。全体計画延長は14・3キロで、堤防や宅地のかさ上げ、築堤など抜本的な治水対策を行ってきているが、只見線の防災・減災は想定していないという。

 「鉄道施設は豪雨被害を想定して強靱化(きょうじんか)されているが、一度設計された設備を更新していくのは予算の面でも、施工的にも困難にならざるを得ない」。自然災害科学を専門とする福島大共生システム理工学類の川越清樹教授は指摘する。

 川越教授は災害リスクを低減させる「Eco-DRR(エコ-ディザスター・リスク・リダクション)」が重要と話す。沿線地域は河川によってつくられた細長い平地で、周辺が急峻な斜面となっており、土砂・流木が発生しやすいという。

 「強化されたインフラが十分機能できるように、土砂災害などを発生しにくくする森林づくりなど、周辺環境も向上させる取り組みが不可欠だ。そのためには林業従事者の確保、魅力ある地域づくりも併せて行う必要がある」と今後の防災・減災の道筋を示した。