うま味(10月7日)

2022/10/07 09:32

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 鍋料理が一段とおいしい季節を迎えた。大手飲食店情報サイトは今年のトレンド鍋に「平成リバイバル鍋」を提案する。レトロブームにちなみ、平成の時代の定番に今風の要素を加えるのが特徴という▼キムチ鍋に豆乳で作るホイップを乗せたり、もつ鍋の食材を増やして彩りを豊かにしたりするレシピを例に挙げる。買い足すことなく手元にある食材を工夫して使えば、物価高による節約志向にマッチする。残り物を上手に生かせば、社会で関心が高まっているSDGsに通じる▼長引くコロナ禍で「一人鍋」が定着した。専用の電化製品が人気を集める。コンパクトで手入れをしやすく、見た目もおしゃれな商品が豊富にある。パウチやキューブ状で売られているつゆの力を借りれば、手軽に好みの味を作り出せる。県内の飲食店をのぞいてみると、「お一人様」向けの鍋料理は珍しくない▼とはいえ、やはり家族や友人、同僚らと、みんなで囲んでこそのうま味に違いない。湯気が立ち上がる大きな鍋から、熱々の肉や魚、野菜をよそり合ったり、具材を足し合ったり…。平成というより、気兼ねなくつつき合えたコロナ禍前の鍋を取り戻したいものだ。