デジタル技術の革新が進み、芸術の世界も様変わりしてきた。パソコンなどを使ったアート制作は子どもにも広がり、日本の小学生の作品がネットを通して1千万円以上の売り上げに達した例もある▼ロンドンに住む12歳の少年のクジラのドット絵が3800万円以上で取引されたとのニュースを見て「自分もやってみたい」と作り始めたという。ゾンビをモチーフにした、かわいらしい動物の作品を編み出した。SNSで紹介したところ、海外のコレクターの目に留まったのがきっかけだ▼県は、デジタル芸術人材を発掘する取り組みを進めている。中高生や大学生、専門学校生らを対象に、デジタル機器によるアートを21日まで募集している。これまでに静止画と動画の両部門に50点以上が集まった。CGやアニメ風の絵、実写など多岐にわたる。作品は、応募段階からホームページで公開されている▼絵の具や絵筆、キャンバスなどを使わなくても幅広い表現が可能で、アイデア一つで異彩を放つ作品を生み出せる。パソコンやタブレットの小さな画面が広い世界とつながり、時に思いがけない利益をもたらす。自由で柔らかな発想が扉を開く鍵になる。