人権を考える(10月23日)

2022/10/23 09:35

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 「背が高くていいね」。ある女子中学生は同級生に憧れを込めて話しかけた。後日、彼女が身長を気にしていると知った。自身も身体的特徴を話題にされるのが嫌なのに気遣えなかったとつづる▼中学生人権作文の県大会に7200点の応募があった。祖父母の認知症や障害者への理解、外国人に対する偏見、いじめなど、自らの体験を通した気づきが記されている。コロナ禍で問題となった差別やLGBTなど性的少数者に関する作品は、生徒の鋭い感性が新たな問題としてとらえていた▼「人の世に熱あれ、人間に光あれ」とうたう水平社宣言は日本で最初の人権宣言と言われる。100年前の1922(大正11)年、全ての人が差別を受けずに暮らせる社会の実現を願った。この理念は女性解放運動や人種、病気による不当な扱いをなくす動きにつながった▼さまざまなハラスメントが指摘され、人権意識は多様な面で求められている。一方で、インターネットや交流サイト上のトラブルは尽きない。人権は誰もが生まれた瞬間から平等に持つ権利である。ただ、乳児の肌のように傷つきやすい。一人一人の思いやりによって守られると心に留めておきたい。