
福島大経済経営学類(前身の経済学部、福島経済専門学校、福島高等商業学校時代を含む)で幅広い教養と高度な専門知識を身に付けた卒業生は、金融や経済など多方面で活躍している。
東邦銀行頭取の佐藤稔(61)=大学第31回、1983年卒=は「多くの人に出会えたことが財産」と振り返る。福島市森合の旧キャンパスに通った。社会人として働きながら夜間主で勉学に励む学友も多く「年代や価値観の違う人と会話し、自身の視野や考え方が養われた」と感謝する。大学の周辺には教員らも住んでおり、身近な存在だった。
金融を学び、銀行を中心に就職活動を行った。県外へ出る選択肢もあったが、両親や友人のいる古里の発展に尽くそうと、東邦銀行への入行を決めた。
福島大で開講している東邦銀行の寄付講座「地域金融論」で教壇に立っている。「迷ったら困難な道を選ぶ」を信条に掲げ、「果敢に挑戦する気持ちを忘れなければ、道は必ず開ける」と後輩たちにエールを送る。
福島ヤクルト販売会長で福島商工会議所会頭の渡辺博美(75)=大学第18回、1970年卒=は3、4年のゼミで近代経営史を専攻し、近代日本経済の父と呼ばれる渋沢栄一ら実業家の功績などを研究した。「当時のゼミで学んだ時間が自身の企業経営に与えた影響は大きい」と明かす。
福島ヤクルト販売社長当時、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故が発生した。不安も大きかったが、従業員の雇用を守ることを一番に考えて行動した。在学生に対し、「自分らしさを忘れず、広い視野を持って学生生活を送ってほしい」と願う。
キリンビール元社長の佐藤保三郎=高商第2回、1926年卒=、元群馬県知事の清水一郎=高商第15回、1939年卒=、元副知事の中川治男=大学第3回、1955年卒=や村田文雄=大学第23回、1975年卒=ら卒業生も日本や本県の発展をけん引した。(文中敬称略)