論説

【若松の公金詐取】不正許さぬ体制強化を(11月11日)

2022/11/11 08:54

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 会津若松市の元職員による巨額の公金詐取問題が発覚した。額は約1億7699万円に上る。市政に対する市民の信頼を失墜させたのは言うまでもない。市は全容解明と原因究明を急ぐとともに、再発防止とコンプライアンス(法令順守)の徹底に向けた具体策を早期に示すべきだ。

 市によると、元職員は2018(平成30)年度から2021(令和3)年度にかけて、こども家庭課で児童扶養手当の支給事務を担当していた。偽の振り込みデータを作成し、自らの預金口座に計11回、約1億1068万円を振り込ませた。

 さらに、2021年12月には、自身が対象となっていた子育て世帯への臨時特別給付金を追加で60万円分受けた。社会福祉課(現・障がい者支援課)に勤務していた2007年4月から2009年12月までの間は、重度心身障がい者医療費助成金の給付事務を担当し、似たような手口で計25回にわたって約6571万円をだまし取っていたという。

 手当を支給する管理システムの機能を悪用してデータを改ざんし、証拠隠滅を図る巧妙な手口に加え、チェックする担当者に入庁1年目の新人や異動1年目の職員を充てるなど発覚しにくい環境を元職員自らがつくっていた。事実ならば、あまりにも悪質だ。これだけ長期間にわたって不正を許し続けた背景にあるのは、市のチェック機能と管理体制の甘さにほかならない。

 元職員は市の聴取に対し、「(不正が)できるからやった」「不正はやる気になればできる」などと述べているという。そうであれば、高い倫理観が求められる公務員の立場にありながら、コンプライアンスの意識が欠如していたと言わざるを得ないだろう。

 会津若松市の不祥事を巡っては、2016(平成28)年に東日本大震災の県緊急雇用創出事業業務委託に絡む市職員による贈収賄事件が発覚した。2019年には詐欺容疑で市の保育士が逮捕される事件も起きている。事あるごとに、市は綱紀粛正やコンプライアンスの徹底を訴え、市民の信頼回復に努めるとしてきた。しかし、不祥事のさなかにあっても、元職員は不正行為をやめなかったことになる。職員を対象にした倫理教育の在り方を抜本的に見直す必要がある。

 県は県内59市町村に対し、職員間で二重のチェックを行うなど支給事務を徹底するよう通知した。今回の事件を教訓とし、他の市町村も事務処理の在り方を点検し、同様の不正が起きないよう対策を講じてほしい。(紺野正人)