2014(平成26)~2018年度のインフラ一斉点検で「緊急」または「早急」に修繕すべきと判定された福島県管理のトンネル73カ所のうち、今年3月末時点で約半数の36カ所の修繕が終わっていないことが21日、国土交通省の調査で分かった。修繕未了率は49・3%で全国平均の29・1%を20・2ポイント上回っている。県は早期の対応が必要な箇所から計画的に対策を講じ、2025(令和7)年度中に修繕を完了させる方針。
県が主要道路の「南部軸」に位置付ける国道289号甲子トンネル(西郷村―下郷町、全長4345㍍)や、山形県境にある国道121号大峠トンネル(喜多方市―山形県米沢市、全長3940㍍)、相双地方の復興加速化に欠かせない県道原町・浪江線の原浪トンネル(南相馬市―浪江町、全長1612㍍)などが修繕未了となっている。
県は2021年度に県管理道路の整備・管理計画を「ふくしま道づくりプラン」としてまとめた。プランに基づき、早期対応が必要なトンネルで損傷が小さいうちに予防的な修繕に取り組んでいる。
ただ、都道府県別で3番目に広い面積や県土の約7割を山林が占めるため、修繕対象のトンネルが北海道・東北地方で最も多い。国の補助金を活用し、計画的に措置を講じているが、単年度ごとの予算には限りがある。老朽化の程度や規模によっては設計から施工完了まで、時間を要する場合もある。
県道路管理課は「危険性が高いわけではないが、県民生活に欠かせない道路施設の安定的な維持管理に努める」としている。