巨大地震・津波による被害想定 福島県 約13万棟の建物被災、1651人が死亡と予測

2022/11/25 21:07

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 福島県は数百~千年に1度とされる巨大地震・津波による被害想定を1998(平成10)年以来24年ぶりに見直し、25日に公表した。東日本大震災と同様に太平洋沖を震源とするマグニチュード(M)9・0の地震が冬の夕方(午後6時)に発生すると、約3万2千棟の全壊・焼失を含む約13万棟の建物が被災し、1651人が死亡すると予測した。会津盆地東縁断層帯を震源とする地震(M7・7、冬の夕方)では1624人、福島盆地西縁断層帯の地震(M7・8、冬の朝)では1471人が死亡するとした。東日本大震災の地震や津波で亡くなった「直接死」の1605人に近い人的被害が出る。

 政府の中央防災会議の専門調査会は2011年6月、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波」を想定するよう提言。県は震災と東京電力福島第1原発事故からの復旧対応が一定程度落ち着いたとして2019年8月に有識者検討委員会を設置し、被害想定の見直しを進めてきた。

 最新の科学的知見を踏まえ、①夏の正午②冬の朝(午前5時)③冬の夕方(午後6時)―の発生時刻ごとに被害を予測した。冬の夕方の場合、夕飯の準備などのために火災のリスクが高い上、雪で消火作業が阻まれる恐れがあり、特に被害が大きくなる傾向がある。数十年から百数十年ごとに起きる地震が前提の1998年の想定とは単純比較できないが、人的被害は約1・8~4・8倍、建物被害は約2・5~6・5倍に膨らんだ。

 検討委員長の中林一樹東京都立大名誉教授は「被害想定を見直しても、県民や事業者が災害を自分事と捉えなければ被害は防ぎにくい」と指摘。県民らに当事者意識を持って防災・減災に取り組んでもらうため、行政が一層努力すべきだとしている。

 県によると、1981(昭和56)年に建築基準法の耐震基準が見直される前の建物は県内に約73万棟ある。これらの耐震化を図ることで被害が最大で97%減少し、避難意識の向上などで津波による犠牲者を最大99%減らせると試算した。県民の防災意識をいかに高めるかが鍵になる。

 県は新たな被害想定に基づき県地域防災計画を見直し、啓発冊子を配布するなどして県民に広く周知する方針。耐震改修の促進も市町村と連携して取り組む。防災訓練などを通して早期避難の必要性を県民に呼びかけるとしている。