日東紡に知事賞 ナプロアースが福島民報社賞 第8回ふくしま産業賞

2022/12/16 09:30

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 卓越したものづくりの技、地域活性化に資する企業活動をたたえる福島民報社主催「第8回ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)」の受賞者が決まった。県内80の企業・団体から応募があり、最高賞の知事賞には福島市に本店を置く日東紡(辻裕一社長)が輝いた。福島民報社賞には伊達市のナプロアース(池本篤社長)が選ばれた。

 知事賞1件、福島民報社賞1件、選考委員長賞2件、福島民報社奨励賞4件、金賞2件、銀賞5件、特別賞11件の計26件が選出された。

 知事賞の日東紡は県内で福島、郡山両市に生産拠点を構えるガラス繊維(グラスファイバー)の製造メーカーで、医療関連事業も手掛ける。グラスファイバーで織る同社のガラスクロスは薄く、伸縮が少ない。性能の高さに定評があり、スーパーコンピューター「京」「富岳」の電子基板素材として連続で採用された。日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功した技術の蓄積が生かされている。6Gなど次世代高速通信システムの技術的な根幹を担う企業として注目され、2023(令和5)年に創業100周年を迎える。

 福島民報社賞のナプロアースは、東日本大震災により浪江町から伊達市梁川町に移転した。1996(平成8)年の創業以来、自動車の総合リサイクル業者として、あらゆる部品を再生可能な資源として回収し、リサイクル・リユースする態勢を整えた。「捨てる」から「よみがえらせる」へシフトした独自技術の世界標準化を目標に、業績を伸ばしている。

 表彰式は2023年2月3日、郡山市のホテルハマツで行う。


■磐栄ホールディングス、イービーエムに選考委員長賞

 過去に「ふくしま産業賞」を受け、その後も着実に業績を伸ばし、社会への貢献が認められるいわき市の磐栄ホールディングス(村田裕之社長)、福島市のイービーエム(朴栄光社長)に対し、選考委員長賞が贈られる。

 「ベンチャー」「女性の活躍」「伝統のものづくり」などをテーマに選考する福島民報社奨励賞には、南相馬市の「テラ・ラボ」(松浦孝英社長)、金山町の奥会津かねやま福業協同組合(目黒祐一代表理事)、小高ワーカーズベース(和田智行社長)、伊藤石材工業(安部和宏社長)が選出された。


■学生部門最高賞は吾妻中

 学生部門は、福島市の吾妻中生活科学部研究班=内藤咲月(さつき)部長=が最高賞の学生金賞を受ける。同部門の応募は5回目で、中学生のエントリーは初めてだった。

 研究班のメンバーは、県産農産物の風評払拭(ふっしょく)を目指し、市内の農業関係者と連携して糖度の高いトマトの栽培を目指した。液体肥料に交ぜる塩化物の分量や種類について試行錯誤しながら研究を進め、独自の調合法を考案した。

 学生部門には県内の大学・短大、高専、高校から15件の応募があり、11件が入賞した。